最近読んだ本(2021年9月)をご紹介します。
今週は小説5冊をご紹介します。
目次
夜行
「四畳半神話大系」「有頂天家族」などで知られる森見登美彦先生の作品です。
英会話学校で一緒だった友人同士が、10年ぶりに集まって鞍馬の火祭りに訪れようと集まるところから物語が始まります。
実は10年前の鞍馬の火祭りでは友人の一人が行方不明になって未だ見つかっていないこと、この10年の間に全員が一人の銅版画家にまつわる不思議な出来事を体験しているなどのバックグラウンドがあり、そのバックグラウンドのストーリーを一人一人が振り返りながら、10年前の失踪事件の真実、そしてこれから新たに起きる不思議な事件につながっていくという不思議なお話です。
妖怪・幽霊系の怖さというよりは、世にも奇妙な物語系の怖さがある作品です。後者のような小説が好きな人にはおすすめの作品です。
物語としては繋がりがありませんが、もしも「夜行」が気に入った方は、同じ作家が書いた「きつねのはなし」もおすすめです。こちらも不思議な世界に引き込まれる小説です。
また、同じ夢を見ていた
映画化もされた「君の膵臓をたべたい」の住野よる先生の作品です。
「人生とは〜のようなもの」が口癖の、自分のことを賢いと自負する小学生の女の子のお話です。
「人生」や「幸せ」について、学校での出来事とともに、「アバズレ」さんという大人の女性、「南」さんという高校生、丘の上の家に住む「おばあちゃん」の3人の交流を通じて主人公が様々なことを考えていく話です。
日常をベースとした哲学的なお話のように見えますが、実はこの物語には秘密が隠されております。ネタバレなので詳細は割愛しますが、最後あっと驚く展開を見せます。
「人生」や「幸せ」について物語を通じて考えてみたい方はおすすめの一冊です。
麦本三歩の好きなもの
こちらも、住野よる先生の作品です。
新人図書館司書の主人公、麦野三歩のゆるふわな日常を描いた作品です。
毎章、好きなものテーマをベースにした本人の喜怒哀楽エピソードが綴られています。
この主人公とは、当時の仕事も考え方も全然違うんですが、すっかり忘れていた若手時代の頃の感性を思い出す話でした。
今回紹介する5冊の中では一番気楽に読める一冊です。ほどよい気晴らしを求めている人にはおすすめの一冊です。
死物語 上
西尾維新先生の「物語」シリーズ最新作です。
「物語」シリーズというと、怪異談のファンタジー系の小説ですが、今回は現実でも起きているコロナウィルス感染拡大を、小説の舞台でも持ってきてしまうという最初からびっくりなストーリーでした。
当然ながら怪異談ではあるものの、単なる導線やバックグラウンドにとどめず、最後の結末もコロナウィルスに関するものという作者のストーリー構成にもびっくりでした。
正直言うと、「物語」シリーズが「モンスターシーズン」になって以降、つまらない話ではないものの、比較的重い展開のストーリーが多く、一気に読むことができませんでした。
「モンスターシーズン」のこれまでが、「虐待」「嫉妬」などの人間のどろどろとした感情を裏テーマとして扱っており、どのような完結をするのか心配ではありましたが、最後は「出会いに対する感謝」という形で締めくくられており、後味悪くない終わり方でよかったです。
「出会いに対する感謝」というテーマ、「物語」シリーズ最重要キャラクターの一人に関するストーリーということもあり、購入後一晩で読み終えてしまえる面白さをもつ作品でした。
死物語 下
「死物語」は「上・下」でわかれていますが、本編は「上」のみです。
「下」は「モンスターシーズン」の作品で毎回おまけとしてついていた千石撫子が主人公の外伝です。
ラストとして一冊分に拡大された形で、事実上全く別々の物語です。
「上」がコロナウィルスをテーマにしていたのに対して、「下」は引きこもり少女の無人島サバイバル?という全く違うテーマになっています。
引きこもり少女の無人島サバイバルというだけあって、「下」の方が「モンスターシーズン」特有の過酷な描写が多い印象でした。
一応この「下」をもって千石撫子の外伝も完結です。
作者は後書きに、「モンスターシーズン」の完結のみ言及し、「物語」シリーズそのものの完結には言及してません。
加えて、千石撫子に関しては今後も描いていきたいという言及をしているので、次のシーズンも引き続き阿良々木暦が主人公になるのか、それとも主人公が完全交代してしまうのか、今後の動向がとても気になります。
終わりに
以上です。最後まで読んでいただきありがとうございました。
最近、若干現実逃避感があり、今月は小説のみの紹介になってしまいました。
とはいえ来月以降ビジネス書や実用書で良いものを読むことができたら、そちらもご紹介できればと思います。/p>
Photo by Susan Yin on Unsplash