占いをしない人でも勉強したい!易経の世界(簡易易占ツール付き)

ビジネス IT技術 易経

最近、以下の本をきっかけに易経を勉強しています。

易経というと多くの人は易者さんによる占いをイメージするかもしれません。

しかしながら易経には占いにとどまらず、諸行に対する歩み方に対しての哲学書という側面もあります。

この記事ではそんな易経の世界をご紹介したいと思います。

ついでに易占を行うWEBツールも作ったのでご紹介いたします。

目次

易経とは

易経とは中国の哲学・占いの書籍です。孔子の儒教においては経典の一つといわれています。

森羅万象の変化事象を陰と陽の二つの元素の対立と統合によって説明しようとした本です。

陰は静的なもの、passiveな意味を持ち、逆に陽は動的、activeな意味を持ちます。

易においては、この陰陽を爻という以下の記号で表します。

 

一本線のみを陽の爻、陽爻といい、二本線を陰の爻、陰爻といいます。

源流は亀の甲羅を使った占いの書であるため、亀の甲羅に線を引いて火で炙り、割れて日本になったら陰爻、割れなかったら陽爻として評価していたことがルーツだそうです。

易においては、この爻を複数重ねて森羅万象の動きを表現します。以下のように爻を六本をまとめたものを卦といいます。

 

この卦は陰陽の2元素ゆえに2の3乗64パターンあります。この64の卦を六十四卦と言います。易経にはこの六十四卦が表す意味の解釈について解説がされています。

代表的な卦辞

実際に代表的な卦の解説を見ながら卦の読み方を見てみましょう。

乾為天

まずは、全てが陽の爻でできている乾為天です。

 

各卦の爻には呼び名があります、下から、初爻、二爻、三爻、四爻、五爻、上爻と呼びます。※上からではなく下からである点に注意!

易経においては、各卦に卦全体の解説である卦辞と各爻の解説である爻辞が存在します。

乾為天の解説は以下となっています。

「乾、元亨。利貞。」が卦辞、初九、九二、九三というものが爻辞です。
ちなみに九は陽爻を示しており、仮に陰爻出会った場合は、初六、六二、六三と六の数字を使います。

前置きが長くなりましたが、乾為天は全てが陽であり、その勢いから昇る龍をイメージすると解説されています。

昇る龍ゆえに、勢いがあることを意味し、卦辞の一般的な解釈としては、その勢いから物事がうまくいくということを意味しています。

続いて各爻の解説である爻辞を見てみましょう。一般に爻辞は初爻から上爻まで時系列のエピソードとなっています。

初爻はまだ龍が潜んでいることを意味します。つまり、まだ準備段階であって、まだ表立っては活動せず自己修養すべきという解説がされています。

二爻は龍の頭が少しでてきたことを意味します。自己修養の結果、周囲からすこしずつ目立つようになったことを意味します。もっともまだ出たばっかりなので先人から学習することを怠るべきではないという解説がされています。

三爻になるとますます周囲から目立つようになります。しかしながら、まだ調子に乗るべきではない、引き続き修養すべきという解説がされています。

四爻になり、やっと飛躍する時という解説がされています。しかしながらそれでも謙虚でいるべきという指南されています。

五爻でついに龍が天に辿り着いたことを意味します。繁栄を意味しますが引き続き先人の教えを乞うべきという指南がされています。

上爻になるとむしろ昇りすぎの龍という意味があります。昇りすぎて後悔が発生し、いつかその繁栄に終わりが来ることを意味しているとされています。

このように一つ一つの爻をベースにした局面の解釈をベースに、森羅万象の動きを六本の爻で解説したものが卦になります。

未済

もう一つ、卦を見てみましょう。この卦は未済という卦です。

 

この卦は大河をわたる車の様子を意味しています。また、未済という名前の通り、物事がまだ終わらずこれからも続くことを意味しています。

ちなみに易経の書の卦の解説は乾為天から始まり、未済で終わります。

これは、易そのものが終わりのない輪廻を意味するという意味合いがあることを意味していると解説されています。

その点で易占においては、未済のまま終わるということは意味せず、未済の後は乾為天つまり、勢いのある姿に戻るということも表していると解説されています。

それでは各爻の爻辞をみてみましょう。

初爻は見通しもなく河をわたる様子を意味しています。尻尾を濡らしてしまうため困りごとが起きると解説されています。

二爻は、進むべきではないと気づいて、車を止めることと意味されています。終始一貫自重していれば吉であると解説されています。

三爻はまだ志を得ていないことを意味しています。それゆえに盲進すると凶であり、準備を整えれば、大河を渡るような危険も乗り切れるだろうと解説されています。

四爻で、後悔がなくなり、志操を貫けば吉とされています。3年後には大国から恩賞がもらえるとされています。

五爻でも志操を貫けば吉で後悔することはないだろうとされています。君子の徳は光り輝いて万民に信頼されるとされています。

上爻では祝杯があげられますが、もっとも新たな意気を養い、良いしれて不覚を招いてはいけないと指南されています。

以上、乾為天と未済の卦を見てきました。

この記事でこのは62種類全てを解説することは割愛しますが、もしも気になったら是非他の卦も是非調べてみてください。

易経を勉強することの意義

易経の解説はここまでにして、ここからは勉強することの意義について私の考えも交えて解説します。

先人の残した成功・失敗エピソードを知ることができる

易経は源流が占いであったようにもともとは占ってできた卦の解釈指南書でした。しかしながら、哲学書としての側面もあると言われています。

先ほど紹介した乾為天では昇る龍、未済では大河をわたる様子が描かれたように、各卦にはエピソードがあります。

また、実際の易経の書物、書店にある易経の解説書にはこの卦辞、爻辞の更なる解説、先人の占いとその結果を表す歴史上の出来事の例などが解説されています。

これらはイソップ物語のような、一種の戒めを含んだ物語であり、これらを学ぶことで森羅万象の物事の流れにおいて注意すべきことを学ぶことができます。

先人がとりまとめた物事の流れをシンプルな形で知ることができる

先ほどもお伝えしたように森羅万象の物事の流れを64個だけで表したものです。

占いによって、現在自身が行われている局面や今後の見立てをたてることもできますが、64の卦を勉強していくと、占わなくても自身の状況が今、どの卦と似ているかなどの分析をすることができます。

最近、VUCAという言葉を代表に、現代社会はスピードが速すぎて予測がつかない状態になったと呼ぶ人がいます。

そんな中、可能な限りシンプルに64種類を森羅万象で解説した易は、物事の流れを把握して分析するツールとしてますます有力な武器となるかもしれません。

自分これまでを振り返り、これからを考えるツールとなる

ここまでは哲学書としての側面を解説しましたが、占いとしての易の側面も自身を省みるツールとして非常に有効と考えています。

易経は文字通り、各卦は森羅万象の道筋を解説したものです。それゆえに占で出た卦を自分ごととしてじっくり考察する必要がでてきます。

この考察は自己の内省としてとても有効ではないかと私は考えています。

現実にたとえば、ビジネス上の人材育成コミュニケーションとして注目されるコーチングにおいては、タロットカードや易占を行い、その結果が何を意味しているのかを熟慮することが自己の内省と成長への手がかりとして有効という考えがだされています。

占は迷信だからやらないという方も、自己を省みるツールとして易占を活用してみてはいかがでしょうか。

私が開発した易占ツールについて

ここからは私が開発した易占ツールについて解説します。

おそらくITの教養がある程度ある方ならピンときたかもしれませんが、易は陰陽の二元論の組み合わせなので、0と1がベースでできているITにも親和性があります。

それならば、いっそのこと自分で作ってみよう!ということで、簡単な易占のツールを作ってみました。

このツールにおいては、私自身がまだ勉強中の身であることを考えて、あえてそれぞれの卦の解説は省略しています。

各専門家のWEBサイトなどの解説を読んでみて、出てきた卦が何を意味するのかじっくり考察してみてください。

ちなみに、ツール上で○がついている爻は変爻といい、解釈はさまざまですが現在立っている局面や、今後のご自身の努力で変わりうる爻を意味します。

この爻の陰陽を逆転させた卦(変卦)も占い結果考察の対象に入れると良いと思っています。

参考文献

最後に、私が手に取ってみた中でおすすめの本を2冊ご紹介します。

ネット上にもたくさん情報がありますが、入門書・辞書として1、2冊持っておいて損はないと思います。

ネット・書籍によって、さまざまな解説・解釈がされていますので、より深く学びたい方は複数冊手に取ってみても良いかもしれません。

終わりに

最後まで読んでいただきありがとうございました。

この記事を通じて易経に興味を持っていただければ幸いです。

Photo by JuniperPhoton on Unsplash

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