逆張りと順張り、どちらが投資戦略として有効なのだろうか長期投資視点で検証してみた

投資 投資戦略を検証してみた

順張りと逆張り、投資において相反する2つの戦略があります。一般的には「落ちてくるナイフを掴むな」「頭と尻尾はくれてやれ」という投資格言があるように順張りをおすすめする人が一般的です。しかしながら、ウォーレンバフェットのように逆張りで成功していると言われている投資家もいます。

この記事では順張りと逆張り2つの戦略の有効性について長期投資の観点で検証してみました。

目次

今回の検証方法

今回は順張り・逆張り・一般的なドルコスト平均法の以下3つのパターンのルールでETFの買い付けを行った結果をシュミレートすることとします。

  • ドルコスト平均法:株価の上下は気にせず毎月一定額($1000)購入する。
  • 順張り戦略:前月よりも株価が上がった場合に購入する。下がった場合は一旦待機。次回上昇した時に待機資金でまとめて購入する。
  • 逆張り戦略:前月よりも株価が下がった場合に購入する。上がった場合は一旦待機。次回下降した時に待機資金でまとめて購入する。

なお、それぞれの検証ソースコードは以下にあります。

検証に当たっては、S&P500と連動するETFのSPYと新興国株の指数と連動するETFのVWO、それぞれのETFの2005年から2020年の約15年分のデータを利用しました。

 

SPYは基本的に右肩上がりであるのに対し、VWOは上がったり下がったりのジグザグしたグラフとなっております。全く動きが異なるこの2種類のチャートの動きでそれぞれどうなるのか検証しました。

S&P500での検証

結果は以下のグラフでした。

 

ドルコスト平均法のグラフだけなのでは?と思うほど並んでしまいました。調べてみるとこの15年間に124回上昇があった一方で、68回下降があったようです。右肩上がりのグラフではありましたが、ある程度上下があったために大きな差はでなかったかもしれません。

VWOでの検証

続いてジグザグしたチャートを描くVWOで検証してみます。結果は以下のグラフでした。

 

こちらもほぼ並んでしまいました。上昇が107回、減少が85回であり、結局タイミングとしてはドルコスト平均法の売買と変わらなくなってしまったようです。

2012年まででみてみる

15年の期間だと区別がつかないため、念の為2012年の約7年間でみてみます。

まずSPYの7年間です。

 

リーマンショックが間にあったものの7年間の調査でもあまり変化はありませんでした。

続いて、VWOの7年間をみてみます。

 

SPYよりは戦略ごとの違いがみえましたが、だいたい一緒の動きをしています。やはり、短期でも目立った違いはないようです。

考察

グラフ自体は私が想定していた以上に、どの戦略も横並びになってしまい、正直のところつまらない結果になってしまいました。

以前「Sell in May」の検証をした際に、ドルコスト平均法の売買タイミングをちょっとチューニングしたところで長期的なパフォーマンスは変わらないという結果が出ていました。

右肩上がりのS&P500指数さえもこの15年間で124回の上昇があった一方で、68回の下降がありました。この上下のタイミングに特段の偏りがなかったため、結局ドルコスト平均法の売買タイミングの間隔をチューニングしたこととたいして変わらないという結果になってしまったのかもしれません。

大きな変化がないということになると、長期的な積立投資において、無理に購入タイミングを変則的にすることは無駄な労力をかけるだけなので愚直にドルコスト平均法で積み立てた方が苦労も少なくて良いということの現れかもしれません。

なお、今回は購入だけの検証でした。これに資産売却や別の資産へのローテーションをすることも考慮すると変化があることは以下の検証でわかっています。正直のところ積立投資をする場合はリバランス以外の理由で売却をすることはほとんどないかもしれませんが、もしよろしければ以下の記事もご確認ください。

終わりに

グラフとしてはちょっとつまらない検証結果でしたが、逆に言えば、積立投資において売買タイミングに余計なコストをかける必要はないということがよくわかる検証結果であったと思います。最後まで読んでいただきありがとうございました。また気になる投資戦略や格言をみつけましたら検証してみたいと思います。

Photo by Markus Spiske on Unsplash

 みやうデジタルラボ - にほんブログ村