IT技術視点で違法情報流通防止の難しさを考えてみる

ビジネス IT技術

誹謗中傷問題・フェイクニュース・海賊版対策とネット上の違法情報流通問題の議論が世界中でされています。そもそも何が違法情報なのか、それを事前に抑止することは検閲にあたらないかなど法政策的側面も問題がありますが、IT技術観点でも難しい問題があると思います。

この記事ではIT技術観点での違法情報流通問題の対策の難しさの視点をまとめてみたいと思います。

目次

匿名要請(プライバシー)と非匿名(被害者保護)の対立をどうするか

被害があったときに被害の救済や、犯罪の犯罪者の摘発をするには本人を特定する必要があります。

しかしながらプライバシー要請の高まりが起きており、WEBサービス運営者が利用者情報を容易にとることがますます難しくなっています。

仮に犯罪防止の側面で本人情報取得を義務化する場合は厳重な同意やセキュリティが必要となるため、これまでのような手軽にインターネット上で何かを公開したり運営することがますます難しくなってしまうという側面があります。

このバランスをうっかり謝ると、ちょっとした掲示板やコメント機能さえも大企業しか設置が許されないハイコストな技術になってしまう危険まで存在しています。

ブロッキングとブロッキング回避の対立をどうするか

そもそも検閲観点でブロッキングは問題ないのかという法的問題がありますが、仮にブロッキングが合法となってもブロッキングには限界が存在します。

そもそも、いわゆる検閲・差し止めを行っている権威主義国家対策だけでなく、ネットワーク上の障害対策として単一ネットワークでの遮断を回避して特定サイトにアクセスする技術はますます発展しています。

そもそも、予防策としてではなく根本策としてのブロッキングは厳しいといわれていましたが、今後はますますその傾向が強くなるかもしれません。

世界規定化(×標準化)をどうやってすすめるのか

そもそもインターネットは単一のネットワークではなく、様々なネットワークの接続による集合体です。

その中にプロトコルという標準技術の合意によってなるべく地域や設備的な依存を少なくつくられているのが現状です。

現状世界で画一的に合意が定められて標準ではなくルールとして定められているものはインターネット上にはほとんどありません。

特に違法情報の流通対策として、犯罪者の特定やブロッキングといった領域ほど様々な考えや主張ががある状況であり、画一的な合意が生まれないと結局、その合意を認めない地域のネットワークを使って回避されてしまうという問題があります

ある種インターネットの黎明期から存在する最大の課題ではないかとさえ思っています。

終わりに

法政策領域も携わる1人のヒラ技術者としての最近のもやもやをまとめただけの記事ですが何か参考になれば幸いです。最後まで読んでいただきありがとうございました。

Photo by Nik Shuliahin on Unsplash

 みやうデジタルラボ - にほんブログ村