SDGs(持続可能な開発目標)の動きがますます加速しており、その動きはESG投資として、環境や人権といった社会貢献に対する活動に力を入れている企業に積極的に投資しようという動きに発展しています。
この記事ではESG投資の有効性についてデータ観点から分析してみました。
目次
今回検証する対象
今回、米国の主要大企業500の指数であるS&P500と連動するETF、SPDR S&P 500 ETF トラスト(SPY)と、ESG株だけを集めた企業の指数と連動するETF、iシェアーズ MSCI 米国 ESG セレクト ETF(SUSA)の2つで比較分析してみます。
SUSAはESG系ETFとしてはとても古く、2005年にできました。
2021年9月現在の構成銘柄の上位は以下のようになっています。
- 1位:Apple(5%)
- 2位:Microsoft(4.9%)
- 3位:Alphabet(2.9%)
- 4位:NVIDIA(2.1%)
- 5位:HOME DEPOT(1.7%)
Amazonなどが省かれていますが、やはりGAFAMが上位比率としてある点などはやや気になるところです。
価格の推移は以下となっています。
なお、経費率は0.25で、ETFとしてはまあ及第点ではあるものの、0.09のSPYと比べるとやや劣ります。
価格の変化率を見てみる
それでは、各種検証をしてみます。
まず、2005年2月を100%として価格の変化率を見てみます。
ほぼ並んでしまいました。
最近2020-2021は若干SUSAのほうが高いパフォーマンスを示しているようです。
最近の投資トレンドのせいでしょうか。
積立投資の観点では
価格変異がほとんどないため、自明かと思いますがドルコスト平均法で積立投資を行なった場合も検証してみました。
検証にあたってはこちらのPythonロジックを利用しています。
以下がグラフです。
やはりグラフにあまり変化がなかったせいか、変化率とほぼ同じ動きを示しました。
考察
以上を持って考察をしてみます。
一時のブームか、恒久的なトレンドか
今回の検証では、一応ESG投資をしたほうがわずかながら高いパフォーマンスがだせることがわかりました。
しかしながら、目に見えて変化が出たのは最近のブームが起きてからです。
そのために一時的なブームであった場合はESG投資なら確実に通常以上の利益を出せるという保証はなさそうです。
逆に恒久的なトレンドであったとしても、Apple、MicrosoftといったGAFAMが入っていたように、主要大企業が自然とESG志向になってしまう可能性があります。
そうなってくると、SPYなどに投資するのとあまり変化がない可能性も高いです。
その場合、経費率やファンドの規模がSPYの方が圧倒的に有利なので、長期投資という観点ではSPYを利用した方がパフォーマンスが高くなるかもしれないという可能性も拭いきれません。
個別株投資の場合は?
ETFの場合、さまざまな企業の詰め合わせになるため、パフォーマンスが今のトレンドに則って若干有利になる程度でした。
もっとも、個別株投資を行なっている場合は、ESGに意欲的な企業でないと、ますます投資家が敬遠する可能性はあります。ひどい時は政府が法規制を課す可能性もあります。
その点で、今の時点でESGに意欲的な企業を選好しておくことは、中長期的な個別株投資にとってはとても重要になるかもしれません。
終わりに
ESG投資について新たな発見があれば幸いです。
最後まで読んでいただきありがとうございました。
また気になる投資戦略テーマがあれば検証してみようと思います。
Photo by Markus Spiske on Unsplash