積立投資戦略でETFを利用する前に知っておきたいこと

投資 初心者向け投資記事

初心者の知人に投資をおすすめするときに一般の投資信託での積立をおすすめします。しかしながら私自身は諸般の理由によりETFをベースにした積立投資をしています。

この記事ではなぜ私がETFを利用して積立投資をしているのか。ETF投資をする上で気をつけたいことをまとめました。

ちなみに、「一般的な投資信託での積立投資についてそもそも何?」という方は以下の記事もあわせて読んでみることをおすすめします。

目次

注意事項

あくまでアマチュア投資家の私の見解です。投資戦略の選択は自己責任のもとお願いいたします。

ETFとは

Exchange Traded Fund (上場投資信託)の略です。投資信託にもかかわらず証券取引所で取引されます。そのため通常売買完了に2−3日かかる投資信託と違い、証券取引所で取引されるゆえに流通量が高く、自然と信託報酬が低めに設定されています。この他通常の投資信託よりも厳しい基準が設けられているため、優良な商品が多いという特徴などもあります。

なぜ一般投資信託の方がおすすめか

上述のような特徴をもつETFですが、私自身は投資初心者の知人に投資を教えるとき、一般投資信託の方をおすすめします。主に以下のような理由があるためです。

優良ETFは一般投資信託の商品になっている

設立基準が厳しいゆえに優良なものが多いETFですが、ほとんどの一般投資信託に同じ仕組みの投資商品が存在します。ETFの設立基準が厳しいだけで、ETFの方が優良な商品が多いというわけではない実情です。

ETFは端数購入がでできない

一般の投資信託は100円から購入でき、0.01口など端数購入もできます。しかしながらETFは端数購入ができません。ETFの価格帯は通常は2000~10000円の中に収まっているため比較的少額ではあるものの、ドルコスト平均法で毎月ピッタリの額を購入するということはできません。ドルコスト平均法を行う場合、端数を次の月に回すなど工夫が必要です。

積立NISAがつかえない

20年間税金が控除される積立NISAの対象ではありません。5年間税金が控除される通常NISAの対象ではありますが、20年レベルの積立投資をする想定でETFを使うとなるとこの違いはとても痛手です。

積立自動購入ができないネット証券が多い

ほとんどのサービスでETFの積立自動購入ができません。2021年1月現在、私が確認している限りSBI証券で米国ETFのみ、SBIネオモバイル証券が国内ETFを対応している状況です。

ETFと一般投資信託の信託報酬の差は、20年程度の積立投資では大きな影響がでない

ETFの方が信託報酬が低いと言いましたがとても微々たる差です。S&P500指数に連動する投資商品でみてみると、国内一般投資信託の最低額は「SBI・バンガード・S&P500インデックス・ファンド」の0.0938%に対して、ETFの最安値は「バンガード・S&P 500 ETF(VOO)」の0.06%と大きな差はありません。この程度の差では20年の積立投資で大きな差にならず、これまでお伝えしたデメリットの対策コストを考えると、許容範囲といえます。

それでもETFを選択する理由

ここまでネガティブなことを書きましたが、それでもETFに投資したいと考えられるメリットは存在します。続いてそのメリットについてお伝えしたいと思います。

海外投資の投資商品の種類が豊富

海外を投資先とした場合、国内の一般投資信託よりもずっと豊富な種類の投資商品があります。海外に分散投資を考える場合、ETFは候補の一つになりやすいです。

米国ETFの場合マイナー投資商品でもそれなりの時価総額がある

米国が経済の中心であるため、米国ETFは時価総額面でも世界トップです。マイナーな商品であってもそれなりの時価総額があります。マイナーな投資商品の場合、不人気ゆえに廃止リスクがありますが、米国ETFから探せば廃止リスクを緩和できます。

米国ETFを使えば経済の中心である米国視点で投資ができる

以下のグラフにあるように米国は世界経済の中心であるがゆえに、株価の時価総額でみると世界の半分を米国がしめています。そのため、米国ETFを利用すれば、米国視点で投資ができます。分散投資を考えると、頻繁に米国を排除した指数で投資をしたいという気持ちになります。しかしながら一般的な投資信託は日本国内の商品であるため、日本を排除した投資商品はあれど、米国を排除した投資商品はありません。米国ETFであれば、このような商品も存在するため、効率的な分散ができます。

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ETFでしか取り扱っていない投資対象の例

バンガード・FTSE・オールワールド(除く米国)ETF(VEU)

バンガード・FTSE・オールワールド(除く米国)ETF、通称VEUは米国以外の株式の指数です。米国以外の株価の動きと連動しているため、米国国外の株価の分散投資をしたい時にぴったりです。

バンガード・FTSE・先進国市場(除く米国)ETF (VEA)

VEUよりもさらに分散した投資がしたい!そういう方にぴったりなのが、バンガード・FTSE・先進国市場(除く米国)ETF、略称VEAです。VEAは米国を排除した先進国の株式指数と連動しています。新興国の株式指数は日本国内の投資信託でも存在するものの、先進国指数に関しては先進国全体か日本を除外した商品しかありません。VEAは日本国内のネット証券において、アメリカを排除した先進国指数の投資ができる唯一の投資商品です。

iシェアーズ iBoxx 米ドル建て投資適格社債 ETF(LQD)

iシェアーズ iBoxx 米ドル建て投資適格社債 ETF、略称LQDは優良社債の指数と連動したETFです。社債のETFは日本の普通の投資信託ではほとんどありません。社債を買いたい方は候補に入れたいETFです。なお、LQDは毎月配当が入るという特徴があります。一般の投資信託だと、タコ足配当(※1)という悪評の高い投資商品で採用されているため、警戒すべき特徴ではありますが、ETFの上場基準ではタコ足配当は禁止されているため、安全性も保証されています。

※1タコ足配当:資産運用によって得た利益ではなく、投資元本から配当を出す配当支払い形式。結果として資産そのものの価値が下がってしまうことが多く、詐欺まがいな投資信託商品に採用されていることが多いことから、敬遠すべき投資信託の特徴の一つと言われています。

iシェアーズ シルバー・トラスト(SLV)

iシェアーズ シルバー・トラスト、SLVは銀価格と連動する投資信託です。銀の投資信託はマイナーであるがゆえに国内の投資信託だと時価総額が低く、廃止リスクがあり怖い要素もあります。その点で米国市場で取引されるこのETFは、銀の投資信託のなかでも廃止リスクが特に低い商品と言えます。

ETFで積立投資をする上で注意すべきこと

以上のような性質を踏まえETFで積立投資をするうえで注意すべき点を紹介します。ここまで触れてきたように上級者向けの投資商品ですのでさまざまな工夫が必要です。

米国ETFをベースにしよう

ここまで述べてきたメリットのほとんどは米国ETFを購入するケースで発生します。米国ETFは投資対象の種類がとても幅広く、時価総額が高いという特徴があります。そのためETFで積立投資をするときは、基本米国ETFをターゲットにする方がいいでしょう。私自身、日本REITの指数など、日本固有のものを除くとほぼ全てが米国ETFです。

定期自動買い付けができるSBI証券を利用しよう

SBI証券だけが定期自動買い付けができます。購入処理コストを考慮するとSBI証券利用を積極的に検討しましょう。

こまめな買い足しをしよう

ETFは端数購入ができないために、毎月端数がでます。端数がある程度固まったら買い足しをするなど工夫をするようにしましょう。

毎月定額購入のドルコスト平均法よりバリューアベレージ法のほうがいいかも

ここまで述べてみると、あんまり毎月定額購入のドルコスト平均法の恩恵を得ることは難しそうです。そうなると、バリューアベレージ法の投資を検討してみてもいいかもしれません。

バリューアベレージ法とは、ドルコスト平均法のような定額購入ではなく、特定の投資商品の成長目標利回りを設定し、設定した利回りを達成できれば利回りを超えた利益だけ利確、逆に設定した利回りを達成できなかったときは投資商品を買い足すという戦略です。詳細は以下の本に書かれていますので手に取ってみることをお勧めします。

私も以下の記事で検証しました。記事の結論としては、パフォーマンスに対してバリューアベレージ法のメンテナンスコストを考えるとあんまり大差ないかなという印象でした。もっともETF積立の場合、もとよりドルコスト平均法の定額購入が難しいため、バリューアベレージ法の導入検討余地はありそうとも思っています。

終わりに

最後まで読んでいただきありがとうございました。ETFについて少しでも理解が深まっていただければ幸いです。

Photo by rupixen.com on Unsplash

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