投資信託派でも知っておきたい米国ETF

投資 初心者向け投資記事

米国ETFの人気はとても強く、国内の投資信託を使っていても、実際の投資先は米国のETFであったりすることも増えています。この記事では、国内の投資信託派でも知っておきたい代表的な米国ETFを紹介します。

目次

注意事項

あくまでアマチュア投資家の私の見解です。投資戦略の選択は自己責任のもとお願いいたします。

ETFとは

念の為ETFを知らない方に簡単にETFの解説をします。

Exchange Traded Fund (上場投資信託)の略です。投資信託にもかかわらず証券取引所で取引されます。そのため通常売買完了に2−3日かかる投資信託と違い、証券取引所で取引されるゆえに流通量が高く、自然と信託報酬が低めに設定されています。この他通常の投資信託よりも厳しい基準が設けられているため、優良な商品が多いという特徴などもあります。

これだけは知っておきたいETF

まずは、最低限これだけは知っておきたいETFをご紹介します。

バンガード トータル ワールド ストックETF(VT)

バンガード トータル ワールド ストックETF、通称VTは、全世界の株式に投資するETFです。これ一個で全ての地域の株式に投資できます。もしも、株式投資をETFで行いたい場合、必ず最初に候補としてあがるETFです。

一応全世界をスコープに投資していますが、時価総額により投資先の偏りはあります。2021年1月時点での配分は以下のグラフとなっております。

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グラフが示すように半数以上がアメリカとなっております。アメリカがあらためて世界経済の中心であるということを示す内容です。この実情を踏まえて、工夫したいと考える時、後述する別のETFを次の候補として選択していくということになります。

バンガード S&P 500 ETF(VOO)

バンガードS&P500ETF、通称VOOはS&P500指数という、アメリカの主要大企業500社の指数と連動するETFです。他にもiシェアーズ社が出すIVV、SPDR社が出すSPYなどあり、同一の商品はたくさんありますが、バンガード社のVOOが業界最低水準の信託報酬を引っ張っているという実情です。IVVやSPYを選んでも大きな失敗はありませんが、もしも何か1つとなったらVOOだけ覚えるのがおすすめです。

VTと並んで、とりあえず1つ株式投資をETFで行うなら?となったときに候補になるETFです。アメリカが今後も世界経済の中心であると考えるタイプの人がおすすめするETFです。世界一の投資家の1人、ウォーレンバフェットは夫人への遺言として、ご自身が亡くなったあとの投資先としてS&P500指数と連動するETFに投資するようにと言っております。

バンガード トータルストックマーケットETF(VTI)

VOOはS&P500指数に連動するETFだったのに対して、バンガードトータルストックマーケットETF、略称VTIはアメリカの株式市場全体の指数と連動するETFです。S&P500指数が大企業500社に限定されるのに対し、VTIは中小の上場企業も含まれます。

VOOとVTI実際の動きはそれほど大きな差はありません。もっともトータルでは若干VTIが上昇率が高い状況になっている一方、最近はGAFAMの急成長もありGAFAMの成長の恩恵をより得られるVOOの方が高いパフォーマンスを出しています。

主要大企業だけでなくアメリカ全体を投資したいという方にはおすすめのETFです。

バンガード 米国トータル債券市場ETF(BND)

バンガード米国トータル債券市場ETF、略称BNDはアメリカの債券市場全体の指数と連動するETFです。もともと債券は株式と違って高い安定性があり、株式投資をするうえでのリスクヘッジとして使われます。特にBNDについてはほとんどの割合が国債のため債券のETF中でも特に安定性があります。世界中の国債がマイナス金利と言われるなか、米国債だけは低金利であるもののまだ高い金利をもっているため、債券ETFの候補としてはおすすめのETFです。

iシェアーズ ゴールド トラスト(IAU)

iシェアーズゴールドトラスト、略称IAUは金の価格と連動するETFです。金それ自体は金利も配当もなく、何も生みません。しかしながら、「有事の金」と言われて、株価が暴落したときに価格が上がりやすいことから債券と同様、リスクヘッジの候補として注目されています。債券が借金故にインフレに弱いのに対し、金は文字通り商品なのでインフレが発生すればそのまま価格も上昇してくれます。そんな金投資をするときの候補として、まずあげたいETFがこのIAUとなります。

余力があれば知っておきたいETF

ここまでは王道中の王道のETFでした。ここから紹介するETFもよく知られる優良ETFですが、さまざまな特色を持つETFになります。

バンガード 米国高配当株式ETF(VYM)

バンガード 米国高配当株式ETF、略称VYMは米国の高配当株式だけの指数に連動するETFです。

高配当株は以下のような特徴を持つといわれ、一部の投資家に注目されています。

  • 安定的な高配当を出す会社は企業的な安定感がある。
  • 高配当であることは注目されていない割安株であることが多く、価格成長に期待がある。

王道のインデックス投資からははずれますが、高配当株の魅力を感じる方は候補としていれてもいいかもしれません。

バンガード 米国増配株式ETF(VIG)

先程のVYMが高配当株の指数だったのに対し、増配し続ける株式だけを集めた指数と連動するのがバンガード 米国増配株式ETF、略称VIGです。増配し続ける株式であることは、企業が成長し続けており、毎年成長分を株主に還元している証拠になります。配当を出す企業の中のエリート中のエリートを集めた企業であるので、安定感に高い信頼が持てます。

安定的に成長し続ける企業に投資したいという方は是非候補に入れたいETFです。

インベスコ QQQ トラスト シリーズ1 ETF(QQQ)

インベスコ QQQ トラスト シリーズ1 ETF、略称QQQはナスダック市場の時価総額トップ100の企業を集めた指数です。この構成が示す通り、GAFAMの成長恩恵を直接的ににうけられるETFです。

VOOが2021年1月時点の直近5年間の成長率が118%出会ったのに対して、QQQは227%と2倍以上の差を出しています。もちろんIT企業中心の指数故、今後もIT業界が確実に成長する保証はありませんが、GAFAMの成長の恩恵を積極的に受けたいと考える方は候補として入れても良いETFです。

バンガード FTSE先進国市場(除く米国) ETF(VEA)

バンガード FTSE先進国市場(除く米国) ETF、略称VEAはアメリカを除く先進国指数のETFです。日本・ドイツ・イギリスなどの国が対象になります。VTを選択すると実質アメリカの景気動向に左右され過ぎてしまうため、アメリカ以外の先進国の成長は別で管理したいという方にはおすすめのETFです。

バンガード FTSEエマージングマーケッツETF(VWO)

バンガード FTSEエマージングマーケッツETF、略称VWOは新興国だけを集めた指数のETFです。VTの場合、時価総額連動のため新興国の投資割合は中国を除くととても小さく、成長恩恵を十分に得られる期待はありません。新興国の成長恩恵をより高く受けたいという方におすすめの指数となります。

なお、VEA、VWO両方に言えることですが、事実としてアメリカ以外の株式市場がここ10-20年は低成長であったということは否定できません。その辺りを踏まえて独自にETFとして購入するかの判断が必要です。その点でやや上級者むけの商品となります。

iシェアーズ iBoxx USD投資適格社債 ETF(LQD)

iシェアーズ iBoxx USD投資適格社債 ETF、略称LQDはアメリカの優良社債だけを集めた債券の指数です。社債は国債と違って倒産リスクがある故に利回りは高めである一方、リスクが高めの商品と言われています。LQDはそんな社債の中でも倒産リスクが低い優良社債だけ集めているため安心感があります。債券投資も視野に入れたいけど、もうすこし利回りをあげたいという方が組み入れる対象にしたいおすすめのETFです。

ETFを利用したポートフォリオの例

それでは、ここまで紹介してきたETFをベースに最後にポートフォリを構築例を2つ考えてみましょう。なお、この考え方はETFに限らず、同じ指数の一般の国内投資信託でも使えます。

また、基本はインデックス投資をするという前提でポートフォリオを作っています。インデックス投資ってそもそも何?と言う方はこちらの記事もあわせてご覧ください。

株式の資産成長をおいつつリスクヘッジも考えたポートフォリオ

さまざまな投資対象があるなかで、最もパフォーマンスが高いものが株式と言われますが、一方でリスクが高いものも株式と言われています。※このあたりの詳細を知りたい方は以下の記事を一読してみることをお勧めします。

そこで、株式の成長の恩恵をベースに考えつつ、債券や金でリスクヘッジをしていくポートフォリオを考えると以下が候補として上がります。

  • 株式:VOO(50%)
  • 債券:BND(25%)
  • 金:IAU(25%)

この戦略に限らずですが、基本はこの割合を維持するようにドルコスト平均法で毎年購入し、1年に1度ほどはリバランスしていくことになります。

平常時は株式が成長パフォーマンスがもっとも高いため、成長し過ぎて50%を超えてしまった株式を1年に1度くらいのタイミングで売却し、債券や金に回して利確していきます。逆に経済停滞で株式が暴落してしまった場合、債券と金が上昇して合計の割合が50%を越えるため、その部分を売却し、安くなった株式にあてて景気回復局面での急上昇を待つという戦略をとっていくことになります。

なお、チューニングも可能です。例えば、株式はS&P500指数のVOOとしましたが、世界全体の恩恵を受けたい場合はVTを選択したり、この割合では株式暴落時のダメージが大きすぎると判断した方は、株式33%債券33%金33%の均等にしてもよいと思います。

アメリカ以外の地域の株価上昇の恩恵も反映させたいポートフォリオ

ETFの紹介でもお伝えしましたがVTはアメリカに比重が大きい性質があります。また、新興国は割合が低過ぎて実質的な恩恵を得られないという弱点があります。アメリカの比重を避けたい、新興国の成長の恩恵も十分に受けたいという方におすすめのポートフォリオが以下になります。

  • アメリカ:VTI(33%)
  • アメリカ以外先進国:VEA(33%)
  • 新興国:VWO(33%)

こちらも考え方は同様で、これだとアメリカの成長恩恵が小さくなってしまうことを危惧する方はVTIを50%にして、VEA、VWOを25%に分けるということもできます。投資は自己責任ですので、基本はご自身の希望を軸にポートフォリをチューニングすることが大切です。

終わりに

最後まで読んでいただきありがとうございました。ETF投資について少しでも理解が深まれば幸いです。最後まで読んでいただきありがとうございました。

Photo by M. B. M. on Unsplash

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