気になったIT記事まとめ(20240916)〜デジタル空間の情報流通健全性を考える、Googleを倒す方法、WEB Archiveと著作権〜

IT記事まとめ IT技術 ビジネス 教養としてのテクノロジー入門

IT産業に従事していない人向けに集めているIT記事をまとめました。

今週はあまり良い記事がみつからず、私が関心を強くもっているものについてまとめました。

玄人向けですが、なるべく初心者の方でもわかりやすいように解説しています。

記事のピックアップ基準

以下の基準で選定しています。

  • IT企業に従事していないけど、ITに関心を持ち勉強を始めたり、これから始めようとしている人向けの記事が中心です。教養やリテラシー、テクニックとして知っておくとよさそうなものをピックアップの上、適時解説を加えています。
  • SNSで話題になったものや、ネットサーフィンで見つけた記事を選んでいます。大手メディア・海外サイト・個人ブログ、ジャンルは問わずピックアップしています。
  • 記事を発見したタイミングベースです。そのため、記事そのものの公開日は最近ではないものも含まれます。
  • ネタがあまりないときは私好みのやや玄人向けのネタも選んでいます。それでも、わかりやすいように解説をつけるように努めています。

目次

「Googleを倒す方法」を検索エンジンのDuckDuckGoが提案

プライバシー面の安全性を武器にGoogleに対抗する検索サービスを展開するDuckDuckGoが「Googleを倒す方法」という介入策を提唱したという記事です。

Web検索サービスはインターネットの基盤インフラであり非常に重要なサービスでありながら、ほぼGoogle一強という問題が世界中の社会で問題になっています。

近年では生成AIの登場によりOpenAIのGPTと提携したMicrosoftのBingなどが攻勢をしかけていますが、なかなか牙城を崩せていないのが現状です。

それと合わせて問題として動いているのは独占禁止法観点の法的制裁です。

先日、米国での独占禁止法訴訟が米国連邦地裁において違法判決が出たほか、EUでも同様の法的措置の動きが始まっています。

今回のDuckDuckGoの提案は技術的提案といいつつ、独占状態に対するアプローチに関するものであるため、おそらく、昨今の法的措置の動きを見て提唱したものと思います。

WEB検索界隈の動きは引き続き注目しています。

「Google 検索」に「Wayback Machine」リンク、過去ページへ直接アクセスできるように

先ほどの記事に続いて、Google側の動きの記事です。

Googleがキャッシュ機能の代わりにWEBアーカイブサービスである「WayBack Machine」のリンクを追加したという記事です。

WEBアーカイブをご存知でしょうか、インターネットにおける過去のWEBページの状態を記録して保存しているサービスです。すでに消えてしまった過去のデータを調べたりする時に便利なサービスです。

一方で著作権侵害などInternet Archiveの法的側面も問題視されております。例えば、こんな記事も存在しています。

AIの学習データが典型ですが、ITビジネス、特にインターネットにおいては、現在においても便利なサイトでも本当に法的にOKなのかは疑問視されることが多々あります。

引き続きインターネットサービスの法的動向に注目しています。

古いコンテンツが再生不能に ~Microsoft、レガシーDRM(デジタル著作権管理)を非推奨化

マイクロソフトが古い著作権管理技術を非推奨化したという記事です。

いわゆるコピーガード対策のことで、コピーガード技術はフロッピーディスク時代から存在しています。

なお、今回の非推奨化に関して、現在のほとんどのPC利用では使われていない技術ということで影響は軽微ということです。

ITにおける守りの技術というとサイバーセキュリティ技術ばかりが注目されて日陰になっておりますが、コピーガードのようなリーガル系技術も日進月歩が進んでいるということがわかる記事でした。

総務省、「デジタル空間における情報流通の健全性確保の在り方に関する検討会とりまとめ」を公表

総務省で開催していた「デジタル空間における情報流通の健全性確保の在り方に関する検討会」とりまとめが公表されたという記事です。

当該検討会では、偽情報はじめとするインターネット上の有害情報の問題や対策について、法的側面だけでなく、心理学的側面、技術的側面、リテラシー活動の動きなど、多方面で議論された検討会です。

取り扱われるテーマは以下の記事で問題になるような話題中心ですが、本質的問題として、何でも情報を取得できることが売りだったインターネットにおいて、情報が過多になってしまったことでレコメンデーションやフィルタリングが進んでしまい、特定の思想に偏った情報収集が人々に起きてしまうようになったとともに、この現象を悪用する人たちも増えたという問題提起などは特徴的と言えます。(学術的にはアテンションエコノミーやフィルターバブル、エコーチェンバーと言われています)

その他、リテラシーが重要であるとされ、日本でも世界でも図書館の司書の方がリテラシー教育に力を入れているという報告がある点、「表現の自由」と密接に関わるという観点から政府の介入の仕方についてもとても慎重になっている点も面白い点です。
その他、最も注目される法規制上では、各種メディア系プラットフォームの透明性を進めて、社会全体で議論ができるようにするという方向で記載されている点も特徴です。

非常に壮大なテーマの報告書ですが、仕事でも趣味でもインターネットがベースとなっていることを考えると、誰もが無視できないテーマではないかと思います。

労省旧ドメイン、第三者が取得 「テレワーク相談」、別サイトに―複数機関がリンク継続

政府が廃棄した古いドメインが悪用されたという事件です。

先ほどのテーマに関係しますが、偽サイト詐欺サイト問題で、中古ドメイン問題は昔から問題になっています。今回も政府のサイトが標的にされてしまったという事案です。

心ある大手IT企業だと、古いドメインも廃棄後も保持し続けていたりすることもありますが、やはり政府レベルなどITに強くないところでは難しい状況です。
そもそもドメインそのものは他のインフラに比べれば安価でありますが、保持し続けることもコスト増加であるという課題があるのも事実です。

ドメインの不正利用は昔から課題がある一方、決定打となる対策がでていない領域です。引き続き動向に注目しています。

中国製AIはハルシネーションレートですでに世界一

生成AIにおいて発生する誤情報作成問題であるハルシネーションについて、中国のAIが最も低い割合を出したという記事です。

以前のこちらの記事で安宅さんと落合さんの動画を紹介しました。こちらの動画で紹介したAIロボットの研究も中国のものです。

経済停滞が危惧される中国ですが、学術研究では引き続き注目しています。

ChatGPT「GPT-3.5」提供終了 新モデル「GPT-4o mini」に切り替え

ChatGPTにおけるGPT-3.5の提供が終了するという記事です。

3.5提供の終了インパクトは大きく、利用していた各企業で対応のために大慌てになっている記事を多く見かけます。

生成AI企業同士の戦いも激しくなっておりますが、1会社の技術的な仕様変更によって強い影響を受ける現況の日本のITビジネスについても考えさせられるところがあります。

ビットコインマイニングはかつてないほど困難に──BTC価格への影響とは

ビットコインのマイニングがかつてないほど困難になっているという記事です。

ビットコインはブロックチェーンという独自のエコシステムを存続させるために、マイナーという参加者を募って、一定時間間隔での決済やりとりの計算を行わせ、最速で計算を完了させた上位者にビットコインを新規に配布するという仕組みをとっています。この計算処理のことをマイニングと言います。

このマイニングですが、さまざまな作戦がとられ、一般WEBサイトにマイニングプログラムを仕込み、WEBページの閲覧しているPCにマイニングの計算処理を手伝ってもらうという仕組みを考えた人もいました。

この仕組みについては、法的問題が日本でも騒がれ、結局最高裁まで行き無罪になりましたが逮捕者まで発生する事件まで起きました。

ブロックチェーンそのものは技術として注目されているものの、仮想通貨については投資面でもリスクが騒がれていますが、マイニング技術についてもその熾烈な競争で問題が発生しております。

ブロックチェーンおよび仮想通貨の動向についても引き続き注目しています。

終わりに

今回はかなりマニアックかつ玄人向けの内容が多かったですが、各種IT界隈で動いていることのバックグラウンドの理解のための教養に少しでも慣れば幸いです。最後まで読んでいただきありがとうございました。

Photo by Jonathan Borba on Unsplash

 みやうデジタルラボ - にほんブログ村