モバイル証券3社を契約して実際に使ってみた感想

投資

最近モバイル証券やスマホ証券というジャンルで、スマートフォンで簡単に取引ができることをコンセプトにしたネット証券が急に増えています。数年前は「野村証券とSBI証券、店頭証券とネット証券どちらがいいですか?」という相談ばかりを受けることが多かったのですが、最近では新たに「PayPay証券についてどう思いますか?」という質問をうけることも増えました。

以前私が契約している証券口座として以下のような記事を書きました。

SBIネオモバイル証券を除くと、私個人はネット証券としては昔から存在するサービスしか使っていませんでした。その関係で、使っているネット証券のこと中心にしか説明することができませんでした。しかしながら、他の証券サービスをにわか知識で論評するのもなぁと思い、今回新たにモバイル証券サービス2つを新たに契約して触ってみることにしました。

この記事では、従来より使っていたSBIネオモバイル証券に加えて、新しく契約したPayPay証券、LINE証券について使ってみた感想を述べてみたいと思います。

目次

注意事項

今回サービスの特徴として紹介するものは、株式・ETF・投資信託サービスに限定します。今回ご紹介する3社は他にFX・CFDなどの他の金融商品売買サービスも行っておりますが、内容については割愛させていっただきます。

また、この記事において一部投資商品なども紹介していますが、この記事は特定の投資商品を推奨するものではありません。

ご自身のサービス選択・投資判断は自己責任自己判断のもとお願いいたします。

SBIネオモバイル証券

SBIグループが運営しているモバイル証券会社です。SBIグループというと、SBI証券がありますが、あちらがネット証券老舗・大手として万人向けのサービスを提供しているのに対して、こちらは際立った個性でサービス展開しています。

最大の特徴はやはり、個々の取引の手数料を免除する代わりに、月額サブスクリプション方式に近い形で課金をしているところです。私が把握している限り、ネット証券サービスでこのビジネスモデルにしているところを知りません。月50万円までであれば2021年4月時点で月額220円しかかかりません。現在はボーナスとしてTポイントを毎月もらえることを考えるとこの手数料はさらに減額されることになります。

もう一つ、この特徴をさらに強力にしていることが、単元未満株でも手数料が追加でかからないことです。

日本株の場合、1単元100株単位で購入するのが原則となっており、例えば任天堂やキーエンスといった1株の値段が高い企業は単元通りに購入するには数百万以上の金額が必要です。一応各ネット証券会社で単元未満株購入制度が存在してはいるものの、余計な手数料がかかるという課題があります。

今日、手数料引き下げを業界でリードしているSBI証券であっても、単元未満株は追加で0.55%の手数料を課しています。(2021年4月時点)

この単元未満株の手数料の悩みを解決してくれるのがSBIネオモバイル証券です。SBIネオモバイル証券は単元未満株であっても特別手数料をとりません。少額取引しかできない投資家にとってはとてもありがたいシステムとなっております。

毎月手数料がかかる点でやや上級者向けかもしれませんが、投資にある程度慣れた方なら二つ目として契約するネット証券として是非お勧めしたいサービスです。

PayPay証券

PayPay証券

2つ目に紹介するサービスはPayPay証券です。

もともとはOne Tap Buyというネット証券サービスでしたが、2021年2月にPayPay証券と名前を変更しました。One Tap Buyのネット証券参入は当時10年ぶりの新規参入であり、モバイル証券における先駆者的な存在です。

PayPay証券最大の特徴は、日米の株式・ETFに対して、1000円から端数購入ができるという点です。

前述のSBIネオモバイル証券では単元未満株購入ができましたが、それでもキーエンス・任天堂といった株は1株数万円の金額が必要で、初心者にとってはちょっとハードルが高いものになります。また、米国株は単元株制度はありませんが、アマゾン株になると2021年4月現在、1株購入であっても約30万円もの額が必要になります。

この課題を解決するネット証券がPayPay証券です。PayPay証券はなんと、1000円単位から端数購入ができます。アマゾン株でも1000円、約0.03株から購入できます。

手数料も時間帯によりますが、基準価格に0.5~1.0%スプレッドという形であり、SBI証券の単元未満株が0.55%であることを考えると他者と比べて水準と遜色がありません。

ちなみに、手数料については細かいルールがあり、取引時間中に購入した方が安くなるようです。また、米国株の場合為替レートも手数料として加算されます。もっとも1ドルあたり35銭なので、1ドル105円とすると実質0.3%、つまり為替手数料0.3%と取引スプレッド0.5~0.7%が手数料として取られることになります。

なお、端数購入ができるゆえに、購入対象は絞られており、全ての日米株式・ETFをとりあつかっていません。しかしながら、P&Gやコカコーラ、トヨタ自動車といったDow30やTOPIX30に選定されるような主要大企業、テスラやメルカリといった人気の新興ベンチャーがピックアップされております。マイナー企業の株を買いたいという希望さえなければ支障はなさそうです。

私個人的にはPayPay証券は上級者は元より、投資初心者にもおすすめできるネット証券だと思います。

以前、以下の記事でご紹介しましたが、だいたい均等に分散して企業を買うことができれば、インデックス指数、つまり市場平均と同様の動きをします。

もっとも企業ごとに株価が異なるため、ETFや普通の投資信託以外の方法で均等に買うことは大金を持っていない限り普通はできませんでした。

しかしながら、PayPay証券であれば株式の端数購入もできるため、大量購入・大量保持をルールとするならば、安心して市場平均と同等のパフォーマンスを期待することができます。その点で徹底的な分散投資を守れば、初心者も安心して利用することができます。

ETFと違って、毎年の信託報酬はかからず、売買時の手数料のみのため、ポートフォリオ調整が若干必要になりますが、本当に長期、5年以上の利用できるのであればETFよりもお得になる可能性があります。

上級者視点でみると、ダウの犬・魔法の公式といったポートフォリオ戦略がとりやすいともいえます。※この辺りの戦略が気になる方がいましたら下記記事をご覧ください。

PayPay証券は投資初心者から上級者まで、使い方としてさまざまな可能性のあるネット証券サービスであるといえます。

LINE証券

LINE証券口座開設

最後にご紹介するのがLINE証券です。サービス開始が2019年11月開始で今回紹介する中では最も新しいネット証券サービスです。

今回紹介するモバイル証券の中では異色で、最初に紹介した2社が独自の個性でサービス展開をしているのに対して、LINE証券はSBI証券や楽天証券といったネット証券老舗よりの万人向けのサービス展開をしていることが特徴です。今回紹介するサービスの中では唯一、一般の投資信託も取り扱っており、積み立て購入機能もあります。

最大の特徴としてはLINEアプリとの親和性で、LINEアプリの中でサービス利用することができたり、LINEPayをつかった投資信託積み立てができます。LINEアプリをライフツールとして利用している人にとっては、とてもありがたい仕様になっています。

LINE連携以外でも、株式の手数料を売却に全て寄せることで、購入手数料無料を実現したり、アンケートやクイズに答えたかたにLINE証券が用意した株式の中から任意で単元未満株3株分プレゼントするなど、他のネット証券にはない手数料戦略やキャンペーン戦略をとっています。

余談ですが、投資商品購入にもつかえるポイントプレゼントというキャンペーンは他でもみましたが、直接株式プレゼントというキャンペーンは初めて見たもので、私個人としても、とてもびっくりしました。

LINE証券のターゲットは投資初心者の若者のようです。この株式を直接プレゼントすることは、あらためて考えてみると投資初心者にとっては良いキャンペーンかなと思いました。

投資初心者にとって最も重要な経験の一つに投資商品の元本割れの経験があります。こればっかりは絶対避けられないので、精神面として慣れるしかないです。

ポイントキャンペーンの場合、ポイントをもらっても何を買うべきか困ってしまったり、ポイントを通して購入した投資商品が元本割れしたりする体験をすると、初心者にとっては、投資商品選択をあやまったというダメージも重なって精神的ショックが大きいかもしれません。その点で、ポイントではなく直接株式をプレゼントするのは、仮に元本割れしたとしても、「プレゼントされた株式だからしょうがないか」という感情を持つことができるので、精神的ダメージ緩和として有効かもしれません。

今回紹介したなかでは最も新しく、まだまだ新しい機能や商品のリリースやキャンペーン展開をされているようです。初心者向けのネット証券としてのさらなる発展に期待です。

終わりに

今回の検証報告は以上です。数年前までは、とりあえず契約するならSBI証券や楽天証券といった老舗のネット証券かなあとおもったのですが、今回の検証で「モバイル証券サービスもそれぞれの個性を生かして負けてない。すごい!」思ったのが感想でした。

ネット証券サービス利用にあたって参考になれば幸いです。最後まで読んでいただきありがとうございました。

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