情報収集や調査は仕事や勉強の部類としては楽しいものだと思います。ただその一方、仕事や勉強と位置付ける場合、気をつけないとただの「情報消費」になってしまいます。この記事では情報収集や調査について、私が気をつけていることをご紹介します。
- 情報収集や調査は目的を忘れないことが大事
- 調査結果・収集情報提供をそのものがゴールとする場合
- タスク遂行のための手段として情報収集・調査をする場合
- 自身の鍛錬・修練のために情報を収集する場合
- ITを活用する
- 参考文献
- 終わりに
情報収集や調査は目的を忘れないことが大事
目的を見失わず行うことがとても大事だと思っています。「情報消費」という言葉をだしましたが、調査や情報収集は目的を見失いやすく、ついだらだらしてしまいます。
この記事では「調査結果・収集情報提供をそのものがゴールとする場合」「とあるタスク遂行のための手段として情報収集・調査をする場合」「自身の鍛錬・修練のために情報を収集する場合」の3種類の目的のパターンでどんなことを私は気をつけているかご紹介したいと思います。
調査結果・収集情報提供をそのものがゴールとする場合
調べたことを報告することが直接的な目的になる時です。いわゆる「情報屋」「リサーチャー」になるケースです。まずこのケースで気をつけていることをご紹介します。
相手の知りたいと思う意図を正確に把握する
当たり前ですが相手がなにを知りたいかという点が重要です。ここがずれてしまうとせっかくの調査が水の泡になってしまいます。相手が知りたいことを把握する。それが調査において一番最初にすべきことと思っています。
報告事項は端的に、体型的に整理して
たまに、調査結果として膨大な資料をプレゼンしたりする人がいますが、実際のところそれを喜ばない人も結構います。(この辺は前述の相手の要望を正確に把握するという点にも通じます。)もしも、Yes or Noを調べるための調査というものだったら、一旦YesなのかNoなのかを回答して、それの根拠となる情報を加えていくというやり方がベストと思っています。体型的に整理して報告することが大事と思っています。
内容は簡潔に、Appendixはたくさん設ける
上記に関連しますが、調査したデータを全て報告する必要はありません。むしろ、依頼した人は自分が調べる時間がないから依頼しているのであって、同じ時間だけ理解するのに必要な報告書は必要ありません。あくまで簡潔にして、その分詳細を知りたい場合はこちらを参照してくださいというAppendixをつけるべきと思っていいます。
タスク遂行のための手段として情報収集・調査をする場合
続いて、情報収集はあくまで手段で、目的は別にある時に私が気をつけていることをご紹介します。
情報収集は最短にしたい
この時は情報収集はあくまで手段です。目的は別にあるのでできる限りローコストでいきたいです。自分が新卒社会人の頃、この辺の認識が曖昧で、納得のいくまで情報が集まらないということを言い訳に無駄に時間をかけすぎて、幾度となく上司に「いつまでっかってるんだ!」と怒られることがありました。今思うと、目的は別にあるのだから見失ってはいけないと痛切に感じています。
仮説検証ベースで
上記の最短情報収集を行う上での作戦として、「仮説検証ベース」というアイデアがあります。一度仮説を立て、その仮説にそった内容かどうか調査をおこないます。仮設通りであればそこで調査終了。仮説と違えば原因を分析し、新たな仮説を立てて検証というサイクルを繰り返すことです。このようにすることで情報収集や調査は最低限で収まり、目的の本来のタスク遂行のほうに専念できます。
自身の鍛錬・修練のために情報を収集する場合
最後に誰かに情報提供をしたり、何か別のタスクを遂行するための手段でもなく、単に自身の鍛錬のために調査や情報収集する時に私が気をつけていることをご紹介します。堅苦しく書きましたが、要するに何かを「勉強」するときに私が気をつけていることです。
良質な情報に触れる
情報に関していうと、フェイクニュースから、どうでもいいトリビアまで様々なものがあります。鍛錬・修練のためにという時は、なるべく良質な情報のみに触れたいと思っています。具体的にはニュース記事・誰かのブログ記事・雑誌などよりは、公的なソース、あるいは名著といわれる専門書をベースに情報収集をしたいと思っています。その点では先輩にお勧めされる本や情報源を頼ることも多いです。
情報は知識に知識は知恵に昇華させる
将棋のプロ棋士羽生さんの言葉です。情報をいくら知っていても、使いこなせなければただのうんちくです。だからこそ、知識や知恵といった高次元なものに昇華させることが大事という言葉です。
知識や知恵といった高次元なものに昇華させることのポイントとしては前述の良質な情報にたくさん触れるという点が大事と思っています。良質な情報に触れていくと、その情報を活用できうる場面でなんとなくこうかなという「感覚」が身についていきます。「感覚」が身につくことが知識・知恵に昇華されることだと私は考えています。
検索能力を鍛えることも意識して
では、「些細な情報は気にしないのか?」というと、私はそうは思っていません。些細な情報については、「覚える・触れる」というよりも、何かあった時にすぐに調べて取り出せる力の方が重要と思っています。その点で大事なことは「検索能力」だと思います。物理的には本で辞書を引く力だったり、ITにおいては、検索エンジンでヒットしうるクエリを考える力です。こういった力をつけることが「鍛錬が目的の情報収集や調査」において重要かなと思っています。
ITの活用力を鍛える
情報を的確に収集する上でITを積極活用する技術というのも大事と思っています。具体的には単にニュースサイトを横断して眺めるのではなく、RSSやネット検索をうまく使いこなす。もしも力があるならフィルタリングなどもつかってレコメンドできるようになるともっと良いかもしれません。発信する側にとってインターネットはとても強いツールですが、受信する側も使いこなさなければ情報社会では情報に振り回される側になってしまうと思います。
参考文献
最後に私が情報収集や調査において勉強になった本をご紹介します。
決断力 (角川新書)
プロ棋士羽生さんの本です。将棋の世界において情報収集・情報活用はとても大事な戦術の一つです。羽生さんのこの本はそんな情報戦の将棋の世界で、どのように情報を活用するのかを羽生さんの考えで書いた本です。
「情報は知識に知識は知恵に昇華させる」「直感の8割は正しい」など将棋に限らない示唆ある言葉がたくさんあります。将棋に興味がない人でも是非一度手に取っていただきたいです。
Running Lean ―実践リーンスタートアップ (THE LEAN SERIES)
スタートアップの本です。仮説思考検証の有効性についてとても示唆のある本です。
ユーザビリティエンジニアリング(第2版) ―ユーザエクスペリエンスのための調査、設計、評価手法―
製品におけるユーザビリティテストの手法を書いた本です。観察したことを、プロダクトの改善につなげる、調査を実際のアクションにつなげることについて、とても勉強になる本でした。
終わりに
社会人になって一番強く感じたのが、情報や知識をただ持っていても意味がなく、結果をださないといけないということです。この記事を読んですこしでも結果に結びつく情報収集や調査術について考え直すきっかけがあれば幸いです。最後まで読んでいただきありがとうございました。
Photo by Adeolu Eletu on Unsplash