PERを使った初心者向け銘柄分析

投資 初心者向け投資記事

この記事について

最近株価の上昇が止まりません。コロナショックを機に株を始めた人から「こんなに上がってしまったんですけど売ったほうがいいですか?」という相談を受けたりもします。私自身は長期的な目線でみているためあまり売るという判断はしないのですが、保有中の株や購入を検討している株が上がりすぎているかどうかのチェックは定期的にしています。

この記事ではPERという指標を使った分析をご紹介します。PERという指標と株価の変化を使うことで、株価が上がりすぎているのか、適正価格なのか、あるいは割安なのかを判断することができます。興味のある方はぜひ最後まで読んでみてください。

PERでわかること

PERとは、株価収益率を意味するPrice Earnings Ratioの略です。一般に企業が毎年得た利益は、一部は配当に、残りは利益剰余金としてさらなる企業成長のための資金として扱われます。PERとはもしも利益が全額株主に等しく分配された場合、何年で株価として購入した額分回収できるかをあらわした指標です。

PERの考え方

一般的に10-15倍が標準、20を超えると人気株として割高、10を下回ると不人気株で割安などと言われています。例えば、Amazonは人気株故に121倍という法外な値を示しています。今のアマゾンの利益だと121年かけないと現在株価分の利益を得られないという計算です。2020年8月現在時価総額1位のAppleでさえも30倍程度で推移していることを考えると121という数値はとても異常といえます。

もっともPERについては、ただ単に1時点のPERを見ればよいものではありません。例えば、先述のようにAmazonは121倍という法外なPERを出しています。しかしながら、2019年4月には割安株の投資家として知られるウォーレンバフェットがCEOを務めるバークシャーハサウェイがAmazon株を購入しました。5月にあった株主総会では、「Amazonは割安株だ」という発言もありました。

これは必ずしも1時点のPERだけを見て判断していないから出せる発言です。そのからくりは企業の利益成長にあります。例えばPER20倍で推移している企業が次の年、利益を2倍あげたものの、株価がそのままだった場合PERは10倍と半分になります。逆にPERが5倍の株であったとしても、次の年の利益が2分の1に減少し、運よく株価がそのままで維持されていたとした場合10倍となってしまいます。

この説明でご理解したと思いますが上述のバフェットの発言は1時点のPERではなく、長期的な利益成長を見据えて割安株であると発言しているものになります。つまり、今後の企業の成長次第でPERは変化しうるものであるため、株価やPERそれぞれの時系列的な変化と、企業そのものの成長性を見据えて判断する必要があるということです。

ケースごとに考えられること

先述のようにPERは一概に高い低いではなく、企業の成長性や株価とPERそれぞれの変化を考慮したうえで判断すべき資料です。ここから株価とPERの変化について各種ケースごとに、私の場合、どのように考えているかをご紹介します。

なお先に注意ですが、この考え方は必ずしも常に最前手であるとはいうことはできません。

例えば、PERが上昇し、株価も上昇したケースでは私の場合ファンダメンタルを意識するために利確を検討すると記載しています。しかしながら逆に投資家の買い志向を逆手にとって「砂上の楼閣」が築かれ始めているとして短期的に購入し、「砂上の楼閣」の崩壊ギリギリで売って利確をするという戦略もあります。もしも、PERが異常値を示しても、その株価とPER上昇が長く続くトレンドであれば、短期的な「砂上の楼閣」作戦のほうが大きく利益を上げられる可能性もあります。こうした株式投資における戦略の選択は自己責任でお願いいたします。

PERが上昇し、株価も上昇

このケースが意味していることは、当該企業に対して、投資家が実態営業成績以上の期待を持っており、株式購入が増えてしまったことを意味します。

もしも保持している株式であった場合、将来的には本来の水準になるだけの営業成績の成長が見込めるなら引き続き保持の選択をとってもいいと思います。しかしながら想定保持期間中には絶対元のPER水準に戻るくらいの成長が見込めないPERになってしまった場合は売り時かもしれません。

購入検討銘柄でしたら、PERの変化が示すどおりの成長が見込めるなら買いかもしれません。おそらくそういった企業は、ますます人気が集まるため着実に株価が上がっていき精神衛生的にもよいと思います。逆に期待通りの成長が見込めないほど上がりすぎたPERの場合、決算発表で投資家の期待を裏切る発表をしてしまうと、一気に暴落する可能性もあります。このあたりを踏まえて購入を検討する必要があります。

PERはそのままで、株価も上昇

このケースは、当該企業の人気が高く株価も上昇するだけでなく、営業成績も期待通りの成長をしたケースを意味します。見極めるポイントとしては、その成長が特需による一時的なものか、翌年以降もさらなる成長も望めるかという点です。もしもさらなる成長を望めるなら購入や、継続的な保持をしてもよいでしょう。逆に特需と感じるならば、買うのを控えたり、長期保有を想定していないならば利確して売ってしまったほうが良いかもしれません。

PERは上昇するが、株価はそのまま

このケースは、企業の営業成績が残念ながら減益して後退しまったものの、引き続き人気が高く株価は維持できていることを意味します。考え方はこれまでと一緒です。一時的な減益であり、将来的にはかつての営業利益水準を取り戻せると考えられるのであれば引き続き保持を検討してもよいです。ただし元の水準に戻る自信が持てないならば、手放したほうが良いかもしれません。

終わりに~さらなる理解を深めたい方に~

以上がが私流のPER分析でした。これらは、「普通の人だから勝てる エナフン流株式投資」や「ピーター・リンチの株で勝つ」などを読んで学び、自分なりに企業分析時に試して身に着けたものです。もしもさらに詳細なことを知りたい方はぜひこちらの2冊も手に取ってみてください。

また、ここまで読んでいただいた方ならお気づきと思いますが、PERの分析はあくまで売買検討タイミングのメルクマールでしかなく、実際にどの株を購入候補とするかのベースとなっているもののはビジネスモデル、財務健全性などのPER以外の要素です。

ご紹介した上記2冊にも、グロース投資戦略観点で企業選択のための詳細な解説があります。このほか、バリュー投資観点での企業選択技術を学びたい場合は「賢明なる投資家」がおすすめです。グロース投資とバリュー投資は相いれない投資戦略ではないのでよろしければこの本も手に取ってみてください。また、私のブログでも引き続きなんらかのテーマに沿ってちょっとした私流の企業分析、株式投資戦略の記事を書ければと思っています。

Photo by M. B. M. on Unsplash

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