順張りローテーション戦略の有効性について検証してみた

投資 投資戦略を検証してみた

この記事について

投資家YouTuber高橋ダンさんの本や動画で紹介されている順張りのローテーション戦略について検証してみました。

ローテーション戦略とは

ローテーション戦略とは、毎月資産の上昇率が高いほうに資産を回してローテーションさせていく戦略です。見た目としては順張り戦略をアルゴリズム化した戦略です。詳細は高橋ダンさんが解説されている以下の本や動画をご覧ください。※ちなみに、ローテーション戦略そのものは動画だけを見るだけで理解できますが、本についても投資全般に関する本としてはとてもよみやすく勉強になりますので一度手に取ってみることをお勧めします。

高橋ダンさんの解説では2005年から2015年の10年間であること、また積み立て投資を考慮した場合どうなるのかについてのデータがなかったため、この記事では解説されていなかったことについて検証してみようと思います。

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検証する指数は、上記グラフのS&P500指数と金先物指数とします。

検証1:$100がどのように変化するのか調べてみる

まず、1979年当初$100で買った資産がどのように変化するのか調べてみます。シミュレーション結果は以下のようでした。

なおローテーション戦略は以下のルールで運用しています。

  • 前月と当月の値で割り、上昇率の高いほうに資産を回す。
  • もしも、上昇率が高いほうに資産が回っていなかった場合は売却して上昇率が高いほうに回す。
  • 上昇率が高いほうに資産が回っていた場合はそのまま保持する。

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2007年以降までは金先物とS&P500の間に位置していましたが、2007年以降リーマンショックを機にローテーション戦略が上回りました。高橋ダンさんの解説では、シャープレシオ(リスクゼロでも得られるリターンを上回った超過収益の指数)ではローテーション戦略に軍配があると解説されていましたが、その通りで、S%P500単体よりも低いリスクで運用されています。

ちなみに、この約40年間での実績は以下でした。

  • S&P500の上昇率が上回った回数:275回
  • 金先物の上昇率が上回った回数:224回
  • ローテーションをした回数:248回
  • 売却時に譲渡益が発生した回数:66回

全体的な価格はS&P500のほうが高いですが、それでも224回も金先物が上回った回数があり、ローテーション発生回数も248回あった点は注目です。さらに、売却時に譲渡益が発生した回数が66回となっている点も気になります。実は、今回税金を計算していません。税金を計算するとどうなるのかは気になります。

検証2:積み立て投資をしてみる

続いて積み立て投資で検証してみます。今回以下4つの戦略で検証してみます。

  • S&P500を毎月$100でのドルコスト平均法の積み立て
  • 金先物を毎月$100でのドルコスト平均法の積み立て
  • S&P500と金先物を50%ずつ毎月$100でドルコスト平均法で積み立て
    12か月に1回資産のリバランスをする。
  • 先述のローテーション戦略をしつつ、毎月$100ずつ投資資産を増やす

シミュレーション結果は以下でした。

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ドルコスト平均法の力である、自動的に資産が安い時に多く買い、高い時に買い控える力が上回ったようです。全体的にはS&P500のドルコスト平均法がわずかにローテーション戦略を上回っているようです。しかしながら、ローテーション戦略の積み立てについては、S&P500のドルコスト平均法よりも抑えめのボラティリティであるところを見るとローテーション戦略は優秀であるといえます。

検証3:譲渡益税を考慮する

ここまでを見ると順張りのローテーション戦略はとても優秀であるといえます。しかしながら、約40年間のなかで66回も売買による譲渡益発生タイミングがあったことを考慮すると税金が気になります。そこで、譲渡益税を20%と仮定して、譲渡益が発生したときに税金を引いてみるとどうなるのか調べてみます。まず検証1で行った積み立てを考慮せず、$100がどうなるのか調べてみました。結果が以下です。

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S&P500と金先物の中間くらいになってしまいました。やはり税金による減少は痛手のようです。

続いて、検証2で行った積み立て投資でも税金調整後を見てみます。

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やはりこちらも$150000ほど下がってしまいました。税金には要注意のようです。

考察

ローテーション戦略は理論上とても優秀なようです。低いボラティリティのまま、リスクが高い資産以上のパフォーマンスを出すことができる可能性を秘めています。

しかしながら、売買を繰り返すことによる譲渡益税には注意が必要です。NISAを使い、日本ETF使えば抑えられる可能性はありますが、約500月中248回ローテーションがあったことを考えると、年間NISA限度額の半額近く売買で消耗してしまうことを意味します。NISAでローテーション戦略をするかは悩ましいといえます。

その点で、アルゴリズム通り無作為に売買をしてしまうのは危険かもしれません。

終わりに

引き続き気になる投資戦略があれば私のほうでも過去のデータでプログラムを組んでシミュレートして調査してみようと思います。最後まで読んでいただきありがとうございました。

2021/05/08追記

先日以下のような記事を書きましたが、いろんな検証をしてみて、あらためてドルコスト平均法の強さに驚いています。

そんな中、唯一ドルコスト平均法のパフォーマンスよりも上回る可能性のある戦略としてローテーション戦略が残っています。具体的な検証の案ができていないものの、ローテーション戦略について改めてどこかで別テーマで検証してみたいとも思っています。

Photo by rupixen.com on Unsplash

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