気になる確定拠出年金の商品について調べてまとめてみた

投資 初心者向け投資記事

この記事について

iDeCo(個人型確定拠出年金)や企業型確定拠出年金の各種金融商品について、きになるものを調べてまとめてみました。

今回調べた商品一覧

今回は主にインデックスファンド系(※1)の投資信託をメインに調べました。有名どころの一部アクティブファンド系(※2)の投資信託も調べております。元本保証型については調べておりません。

(※1)インデックスファンド:TOPIXの指数など、特定の指数に連動するように株式や債券など金融商品を購入し、運用しているファンドのこと。今日インデックス投資として投資戦略として最も人気のある投資手法を採用しているファンドです。

(※2)アクティブファンド:インデックス投資とは反対に、個々人のファンドマネージャーが、今後上昇すると予想した株や債券を購入して運用するファンドです。戦略や方針は開示されるものの、ファンドマネージャーの実力に左右されます。また、ファンドマネージャーが調査に時間をかけるため手数料はインデックス投資よりも高めに設定されます。アクティブファンドの7割はインデックス指標に勝てないという研究があり、最近はますます人気がなくなっています。

投資商品を調べる上で気にしているポイント

主に気にしているポイントは3点です。

どのような指数・戦略で運用しているか

投資商品分析として一番最初に気にするところです。もしも怪しい指数や戦略で運営されていたら、まずそこで躊躇してしまいます。特にアクティブファンドである場合は、運用者のプロフィールや過去の実績、ポートフォリオなど丁寧にみる必要があります。

401Kの投資商品選定においても戦略決定はとても重要と思っています。戦略の建て方は自己責任かつ人それぞれですが、私は株式中心のインデックス投資戦略をメインに見ています。選定における詳細な考えは以下の記事に述べております。もしも興味がありましたらこちらも合わせて読んでいただけますと幸いです。

運用資産は健全か

いくら健全な指数を追いかけていても、そもそも人気がなく、運用資産規模が小さいファンドは途中で運用を終了してしまうリスクがあります。さすがに確定拠出年金の候補に選ばれる資産は、そのリスクは限りなく低いとは思いますが、大事とってみる必要があります。

手数料は抑えめか

近年では最も人気のあるS&P500(※3)といった指数でさえも年平均の利回りが6-8%と言われております。その点で、信託報酬(※4)は少しでも低い方がいいです。年1%近くあると購入を避けることを真剣に考える必要がでてきます。また信託財産留保額(※5)もない方がいいです。

(※3)S&P500:アメリカの主要大企業500社の時価総額の平均を表した指数。アメリカ株式市場でも特にメジャーな指数であるとともに、世界一の投資家ウォーレンバフェットが亡くなった後の奥様の投資資産の方針としてこの指数へのインデックス投資を進めているほど健全な指数と言われています。

(※4)信託報酬:投資商品について年間かかる手数料。一般に投資資産の年率で換算されます。

(※5)信託財産留保額:投資商品を解約するときにかかる手数料。一般的に投資総額から何%引くかという形で表示されます。

MHAM TOPIXオープン

今回の記事における選定理由は筆者である私の勤めている企業が採用している商品だからです。指数としては、東証1部全企業の時価総額平均のTOPIXです。TOPIXは日経平均と比較すると、あまり上がっていない印象がありますが、業界の分散具合や配当額を鑑みると、日経平均よりも安定感がある印象を受けます。

純資産は7,420百万円で、信託報酬も年0.75とインデックス系の中では高めです。ライバルである、三菱UFJ国際-eMAXIS Slim 国内株式(TOPIX)が純資産2020年5月現時点16,572百万円、信託報酬年0.154であることを比較すると、確定拠出年金のファンドとはいえ、かなり厳しい位置に立たされているといえます。月次資金流出入額も減少傾向にあるだけでなく、SBI証券のiDeCoではすでに今後運用商品として除外が決定されるため、要注意商品かもしれません。

SBI TOPIX100・インデックスファンド

選定理由は同じく私の勤め先企業の採用商品だからです。こちらはTOPIX100というTOPIXの中でも特に時価総額が大きい上位100社をセレクトしたものです。(現在の構成銘柄はこちら)日本企業の中でも特に巨大な100社を選んだものといえます。一般に大企業は劇的な成長は期待できないものの、安定した収益と配当をもたらすため、安全志向の方におすすめな商品といえます。

純資産は2020年5月現時点6,321百万円と低めであるものの、月次資金流出入額は確実に上がっており、信託報酬も年0.264%と良心的なので、日本株でかつ、安定的な資産成長を求める人にはおすすめかもしれません。

ダイワ投信倶楽部日本債券インデックス

選定理由は同じく勤め先企業の採用商品のため。日本債券指数である。DBI(ダイワ・ボンド・インデックス)総合指数に連動しているようです。一般に債券は安全資産と呼ばれております。特に日本債券は世界的にも安定資産として言われており、株式のリスクをマイルドするのに一役買うかもしれません。もっとも、債券はインフレにとても弱いという傾向があります。コロナショックで今後日本がインフレにいくかデフレ にいくか先行きは見通せませんが、現政権が一応インフレを目指しているという傾向からすると、債券一本はリスクが高いかもしれません。

純資産総額は9,828百万円であるものの、着々と純資産額は上昇傾向にあるので一応安心はできます。ただ、信託報酬も年0.495なのはやや残念です。業界トップの三菱UFJ国際-三菱UFJ 国内債券インデックスファンド(確定拠出年金)は純資産額2020年5月現時点39,734百万円、信託報酬が年0.132%であるため、購入している人にとって、今後のファンドの動向について、油断はできないと思われます。

ダイワ投信倶楽部外国債券インデックス

選定理由は同じく勤め先企業の採用商品のため。前述の外国債券指数版です。 FTSE 世界国債インデックス(除く日本、ヘッジなし・円ベース)の指数を採用しているようです。現在の構成銘柄をみると、1位がアメリカ、2位が欧州、3位が日本になっておりこの3つでほとんどを占めています。この商品はこの中から日本を省いていると考えると、大半がアメリカの欧州の債券で占めているといえます。一般に他国の国債は為替変動リスクの影響のほうが受けやすいです。日本以上に他国の方がインフレ率が高いこと、円が他国と比べて安くなるかなどを考慮した上でポートフォリオに加えるのが安全かもしれません。

純資産額は2020年5月現時点16,696百万円あり、上昇傾向であるものの信託報酬が年0.715というのはイマイチです。やはり、業界トップの野村-野村外国債券インデックスファンド(確定拠出年金向け)には信託報酬も、資産規模も負けているのは今後の展望として懸念です。

三菱UFJ国際-eMAXIS Slim米国株式(S&P500)

選定理由は最も人気のある指数の一つであるS&P500指数であること、信託報酬も全銘柄含めて業界トップであることです。前述の通りS&P500はアメリカの主要大企業500の指数です。今日中国などが台頭しつつも、世界市場の時価総額半分以上はアメリカであり、当面経済はアメリカ中心に回っていくことを考慮すると、見放すことはできない指数です。

純資産額もここまで紹介した中では圧倒的な2020年5月現時点93,231百万円、信託報酬も破額の年0.0968%です。

残念ながら私の勤め先ではこの商品だけでなく、S&P500の指数の銘柄も採用されておりません。そのため、少しでもアメリカ市場の恩恵がもらえる商品を探すということが指針になります。

SBI-SBI・全世界株式インデックス・ファンド (愛称:雪だるま(全世界株式))

選定理由はSBI iDeCoの中で唯一の全世界株式ファンドであるからです。指数としては、FTSEグローバル・オールキャップ・インデックス(円換算ベース)という全世界指数に連動しています。こちらの構成銘柄を見ると56%近くがアメリカとなっております。アメリカの恩恵を受けつつ、他の国の台頭も考慮すると先述のS&P500よりも良いかもしれません。

信託報酬は年0.1102%、純資産は2020年5月現時点6,131百万円ですが、比較的若いファンドであること、純資産額も上昇中であることを考慮すると期待値は高いと思われます。

個人的に残念なのはこちらも勤め先のリストにないということです...

三菱UFJ国際-三菱UFJ DC新興国株式インデックスファンド

選定理由は新興国のインデックスファンドとしてはトップであるという点です。構成銘柄はこちらでいわゆるBRICs系がメインとして入れられています。新興国の特徴として、変動幅が大きいという傾向があります。さすがにこれ一本はリスクが高いですが、アセットアロケーションをうまく組んで、リバランス(※6)できる方なら、バランスファンドや全世界株式のファンドよりも高いパフォーマンスがだせる可能性もひめております。

(※6)リバランス:例えば株式7:債券3というように配分したポートフォリオも、時が経つと株式の割合が高くなってしまい8:2になってしまうケースがあります。この時に株式を売って債券を買うことをリバランスといいます。この時に割合が高くなってしまった方の利確・割合が低い資産への買い増しがあるため、単に寝かせることよりもリスク分散やパフォーマンス向上が期待できると考えられています。

信託報酬は年0.374%、近年はアメリカがバブル気味であったことやコロナショックで新興国の指数特有の暴落が発生してしまい、純資産額は減少してしまいましたが、2020年5月現時点で22,550百万円であり、年単位では上昇傾向であることから安心できると思われます。

ポートフォリオのスパイスとして、組み込みたいですが、残念ながら勤め先の採用商品にありませんでした。

EXE-i グローバル中小型株式ファンド

選定理由はSBIのiDecoの中で唯一、中型小型株を専門に取り扱っているためです。FTSEグローバル スモール・キャップ インデックスという指数を追っています。やはり、こちらの構成銘柄を見ると米国に56%近く占められております。

中小株は大型株に比べて、新興国指数と同様ボラティリティが高いという傾向があります。一方で、新興国よりも着実に指数として成長しているという傾向があります。

マイナー故に純資産額は2020年5月時点で5,800百万円と低めですが、着実に規模は大きくなっており、信託報酬も0.331%と及第点です。

幸運にも、私の勤め先の確定拠出年金はこの商品をリストに入れていました。そのため、ポートフォリオのスパイスとして入れております。

EXE-i グローバルREITファンド

選定理由は、SBI iDeco唯一のグローバルREIT指数だからです。ちなみにETF(※7)、一般投資信託を含めて、日本で購入できる唯一の全世界REIT指数の投資信託商品です。

(※7)ETF:上場投資信託の略で、投資信託でありながら、証券取引市場にて売買されております。株式のようにリアルタイムの時価で購入できるという特徴があります。

REIT全般に言えますが、土地の価格が基準であるため、株価ほど上昇率が高くないものの、安定した配当をもらえる傾向があります。一方で、過去の歴史として土地の価格はバブルを起こしやすく、暴落するときは株価以上に暴落します。直近のJ-REIT(日本のREIT指数)の上昇と暴落が典型例かと思われます。アセットアロケーションのリバランスはもちろんですが、確定拠出年金の商品をほったらかしにせず、メンテナンスができる人なら取り扱うのに適しているかもしれません。

純資産は2020年5月時点で2,647百万円と低めであるものの、マイナーであることや、オンリーワンを生かして上昇傾向であること、信託報酬0.343%ということから及第点かと思います。

こちらも幸運にも勤め先企業の確定拠出年金に採用されておりました。コロナショック前はさすがに上がりすぎており、買うのを控えていましたが、コロナショックにより、価格が大幅に下がったので少しずつポートフォリオに加えております。

三菱UFJ国際-三菱UFJ 純金ファンド

選定理由はSBI iDecoで唯一の金連動指数を採用しているためです。金はそれだけでは配当も出さず価値も生みません。しかし、絶対に価値が下がらないと言われているだけでなく、株価と逆連動する傾向があり、それ故に守りの資産と言われております。現金には、為替リスクやインフレリスクがあるため、金をポートフォリをにいれるという選択肢はありうるかと思います。

最も基準価格は2020年5月現在で29,620百万円であるものの、信託報酬年0.99%は、インデックス系商品としては高すぎます。また、iDecoを選択しなければ、国内なら三井住友TAM-SMT ゴールドインデックス・オープン、海外ETFならIAUといった優良ファンドがあるのでこちらを選択した方が良いと思います。

ここからは、株・債券・REITなどの資産複合系を紹介します。

みずほ信託銀行確定拠出年金向年金投資基金信託マイブレンド株式70型

まず紹介するのはみずほマイブレンドファンドです。勤め先の企業のバランスファンドとして採用されております。追っている指数はTOPIX、NOMURA ボンド・パフォーマンス インデックス、MSCI KOKUSAI インデックス 、FTSE世界国債 インデックスです(参考)。この中でNOMURA ボンド・パフォーマンス インデックス(通称NOMURA-BPI)は大和の指数とほぼ同様です。MSCI KOKUSAI インデックスも、FTSEのAll World Indexと違い、中小株が含まれていないという特徴がありますが大体一緒です。株式70型は株式が7割、債券が3割で連動するように作られています。一般的に、ポートフォリオのリバランスは1年おきなど、ある程度スパンを実施した方が良いといわれています。その点で、ほったらかしにせず、ある程度メンテナンスができる方でしたら、他の商品と複合で、株7割、債券3割を作った方が良いかもしれません。しかし、自動でやってくれるという点でメンテナンスができない人には適しているかと思われます。

信託報酬は0.3、純資産額もこちらを見ると安定的に上昇しているようなので問題ないと思われます。

みずほ信託銀行確定拠出年金向年金投資基金信託マイブレンド株式50型

上記の株式50:債券50型です。70型よりもリスクが抑えられています。70では変動が激しいので耐えられない方はこちらの方が良いかもしれません。

みずほ信託銀行確定拠出年金向年金投資基金信託マイブレンド株式30型

上記の株式30:債券70型です。50型よりもリスクが抑えられています。株式50%でも変動が激しいので耐えられない方はこちらになります。また、年金受給の時期が近くなった方は変動リスクよりも安定的に受給することのほうが大切であるので、こちらを選択するという手もあると思われます。

Yjamライト!

ヤフーグループのアストマックス投信投資顧問が運営しているファンドです。指数としては、株式5割、債券5割としております。もっともみずほマイブレンド50と違い、iShares Edge MSCIミニマムボラティリティグローバル・ETFなどの全く違う指数を採用しています。株式もリスクの低い銘柄中心であることから、みずほのマイブレンド50よりも安定した変化をすると思われます。(具体的な戦略はこちら参照)

信託報酬が0.66と高く、純資産額も1,859百万円で減少傾向ではないものの、設立以降、購入者が減少していることを考えると、やや心配な商品です。

最後に、アクティブ系を3つだけ紹介します。

レオス-ひふみ年金

まず1つ目が、2012年設立以降資産を4倍にしたひふみ投信の確定拠出年金版、ひふみ年金を紹介します。

このファンドは、中小企業の経営者に直接訪問して、今後の成長が見込める信頼における企業を中心に投資しております。ファンドマネージャーの最高責任者である藤野英人さんは本を出していたり、テレビにも出演があり、日本を代表するファンドマネージャーとして有名です。

信託報酬は0.836%とやや高めです。一般に中小株中心のアクティブファンドは、人気が出て純資産が上昇しすぎると、分散投資を余儀なくさせられ、パフォーマンスが落ちるというジンクスを持っています。そのため、今後も4倍というパフォーマンスを出せるかという点については予測できないがあるものの、今後も高いパフォーマンスが出せると考えられるならば選択しても良い商品かもしれません。

農林中金-農林中金<パートナーズ>長期厳選投資 おおぶね

ひふみ投信と同様、投信ブロガーが選ぶ!Fund of the Year 2019にも上位20位以内にランクインする人気ファンドです。実績はまだ目立ったものがありませんが、ひふみ投信と違い、安定成長の望める大型株を中心に投資する戦略のため、ひふみ投信の戦略より長期的な安心感があります。

アクティブファンド故に信託報酬が年0.99と高めです。マークしておいて損はない商品かと思います。

なお、ファンドマネージャーの方が以下の本を出しています。私も手に取って読みましたが、投資戦略としてバフェット式を志しているそうで、個人的には好感を持っています。

Yjamプラス!

最後に、確定拠出年金の商品で唯一AI解析を一部採用している。Yjamプラス!を紹介します。公式ページにある通り、AIとビッグデータを利用して、株式の平均パフォーマンス以上の物をだすという目的の商品です。詳細な戦略はYahoo!JAPANのビッグデータとAIが教える21世紀の投資戦略などの本も出ているので、詳細を知りたい方はこちらを読んでもいいかもしれません。(※私も実際に読みました。)

信託報酬は年1.012%とアクティブ商品なだけに高めです。YJamに限らず、AI・ビッグデータ系の投資信託はまだ良い成績をだしているところが少ないです。そのため様子見だと個人的には思っていますが、将来的には候補としてみて良いかもしれません。

まとめ、実際の商品購入選択について

以上が、私が気になった確定拠出年金の投資系商品の分析結果でした。

私自身は、勤め先企業の採用商品の事情から、みずほマイブレンド70をベースにしつつ、スパイスとして、EXEiのグローバルReitとグローバル中小型株式ファンドを入れております。(※本当はもっと細かく設定したかったですが...)ただし、これはリバランスなどこまめなメンテナンスをする前提の運用です。そのため、もしもほったらかしでいきたいというのでしたら、みずほマイブレンド70など資産複合系を1つ選んで寝かせるのがベストではないかなと思ったりしております。

また、iDecoが使えるのでしたらそちらのほうが商品選択が豊富と思うのでそちらを選んだ方が良いかもしれません。

もしもネット証券口座を探していましたら以下に比較記事を作りましたのでよろしければご覧ください。

この記事が確定拠出年金の商品選定の参考になりましたら幸いです。

Photo by Austin Distel on Unsplash

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