最も長いキャリアはエンジニアですが、都度都度新規ビジネス立ち上げや営業にも携わらせていただき、最近では企業法務領域にも携わり、法令違反リスクの検討なども携わっています。
このような経験をもとに改めて、GAFAの発展から、今日の規制と批判の動きをみると、あらためてビジネスにおける「三方良し」という伊藤忠商事の社訓にもされる言葉の重要性をかみしめつつ、それではどのようにすべきであるのかということについて「もやもや」するところがあります。
この記事では、「三方良し」について改めて私の仕事や読書経験などをもとに分析していきたいと思います。
目次
本当の成功を望むなら「世間良し」に目を向けるべきか
「三方良し」の三方とは、「売り手良し」「買い手良し」「世間良し」の3つです。
「売り手良し」「買い手良し」の2つが基本で、まずこの2つを作ることがそもそも大変ですが、本当の成功を目指す場合、「世間良し」に目を向けることがとても大事だとお思っています。
最近は「迷惑系Youtuber」など、炎上商法で稼ぐという人もいます。「迷惑系Youtuber」は極端なケースですが、実際にマーケティング分析をする上で炎上によりうける損失よりも、実際に得る利益の方が大きいとあえて踏み込む戦略を意図的に取るケースもあると聞き、驚いています。
とはいえ、本当に炎上商法を続けていいのかは疑問です。最終的には法的罰則を受けたり、世間的な締め出しもありうると思っているのでリスクが高すぎると思っています。
「世間良し」は単に「法令違反しないこと」だけではない
ちなみに、「世間良し」は単に法令違反しなければいいというだけではないと思っています。
この点については冒頭でも述べたように「GAFA」の発展と規制の流れから痛切に感じます。
GAFAの歴史を紐解いてみると、初期の頃はその便利さやビジネスモデルの先進性などで、経営手法だけでなく、アイデア創出などの観点でいろんな企業や人が真似しようとしていたと思っています。
このころの検索エンジンなどの新しいビジネスは実は法的にはグレーだったという指摘があります。
元Yahoo!JAPANの役員であった別所さんの本によると、日本方Googleを代表する検索エンジンの著作権法観点で、検索エンジンが合法となるような著作権法の改正の動きを作ったという言及があります。
ところが最近では、大量の情報収集でプライバシーや寡占化などが問題となり、むしろ規制を強化する動きの方が強くなっています。
逆に法律では規制できなかったものを新たな法律で規制しようという流れになっています。
この事例をみると、どちらかというと法律は事後的な話となっており、形によっては緩和・合法化の流れまであるように感じてしまいます。
山口周さんの以下の本では、経営において「アート」と「サイエンス」という点で、マーケティングを通じたユーザーニーズの発見、基盤研究を通じた産業化といった「サイエンス」とは別に、「アート」というビジネスとしてどのようにあるべきかの重要性を説いています。
この本であらわす「アート」の中に「法令違反しなければいい」という「サイエンス」までにとどまる考え方に対しての問題点の指摘もあります。
「三方良し」における「世間良し」は「サイエンス」ではなく「アート」の中に存在するものではないかと思っています。
あらためて「世間良し」とは何か
「単に法令違反しなければいい」が「世間良し」ではないということがわかってきました。あらためて、「世間良し」とは何かということを改めて考えてみたいと思います。
正義では定義できない?
「法令違反」の上位概念として「正義」であるのかという点をまずみてみましょう。
そもそも、「正義」で攻めていく考え方は跳躍しすぎていたり、難しく考えすぎているのかもしれないとも思っています。
ただ、大きな企業や業界団体ほど、「正義」で論理武装して、自身のビジネスの正当性をつくろうと動いているようにも感じています。
山口周さんの観点で説明すると、「正義」を「サイエンス」で定義しようとするからこうなっているのではと思います。
山口周さんの「アート」を頼りに、古典・哲学を辿り、「正義」をみたところ「正義」から「世間良し」をつくるのはとても大変そうです。
有名な本で、マイケル・サンデルの「これからの正義の話をしよう」を読んでみてもいいかもしれません。正義の考え方についてとてもさまざまなものがあり、即座に正解がみつからないという実情がわかります。
考えること自体はおもしろいことですし、たくさんの人が携わる大企業などでは可能な話かもしれませんが、小規模企業でスピードが勝負のビジネスにはマッチしなさそうです。
「共感」という観点・「買い手」から「世間」に拡大してみる
「正義」であることにフォーカスするよりも、売り手ではない第三者も含めて「ポジティブ」に受けられるかというシンプルな観点のほうが大事かもしれません。
ビジネス観点ですと、ゆうこすさんの「共感SNS」などの実例本も多くあります。ターゲットは「売り手」ですが、結果的に「世間」に対しても同時に「共感」という形でポジティブであることを確認しているのではないかと思っています。
大きな企業・政治団体レベルになると、「正義」を定義して利益の拡大を狙っていきますが、哲学視点で「正義」の難しさを考えたり、価値観が多様化している現代を考えると、むしろこちらの方が無難な戦略かもしれません。
論理武装して「正義」を作るよりは、フィードバックをうけることが大事で、時には厳しい批判・誹謗中傷もあびる可能性もあるかもしれないですが、フィードバックを受けて少しずつ変えていくことがVUCAの世の中ともマッチしますし、「世間良し」を目指す一つの作戦なのかなあと思っています。
終わりに
今回も日頃の「もやもや」の整理のために書いた記事です。一度ざっと書いた後読んでみて、論理の飛躍や難しく考えすぎていた点などの反省もありました。
ただ、それでも、読んでいただいた方に、何か気づきがあれば幸いです。
最後まで読んでいただきありがとうございました。
Photo by Scott Graham on Unsplash