私の30年ちょっとの人生の中で特に財産となっているものに合気道があります。
合気道は「動く禅」として現在ではマインドフルネスとしても注目される精神の修養を目的とした武道です。その点で、演武はありますが、いわゆる試合やコンテストはありません。
私自身には不思議な縁があり小学校低学年からはじめ、他の習い事・スポーツは転々としたのにも関わらず、大学、社会人と続けています。
最近はその縁の力が弱まっているのか、2018年頃に体を壊して2年ほど離れ、2019年後半にやっと体が戻って復帰したものの、すぐにコロナ禍となって再び自粛の日々となっています。
しかしながら、20年近くつづいた慣習は染みているのか、夢に出てきたりどうしても今の自粛状態に対してもどかしさを感じている日々です。
そんな状況下でもせめて教えを振り返って自分を改めて見つめ直したいと思ったので、この記事では大学時代の師範であった多田先生の教えを簡単に振り返りたいと思います。
目次
多田先生について
簡単に多田先生をご紹介します。
多田先生は、合気道の開祖植芝盛平先生の弟子の一人であると同時に、中村天風先生など合気道以外の武道・ヨガなどの達人の下で弟子として修行をされていました。
「現代に活きる武道」を目指して、より合気道の精神修養性を求めた稽古方針をとられていました。
90歳の現在でもご健在です。コロナ禍の状況でも、オンラインの演武会などで演武を披露されており、参加人数制限などをかけられていますが、各道場で師範もされています。
ちなみに、厳密に言うと大学時代すでに多田先生は名誉師範という立ち位置にあり、毎週道場で教えをうけるという立場ではなく、直接的な師範ではありませんでした。
加えて、多田先生にはすでに数多くの合気道の第一線で活躍されるお弟子さん(同門という意味では私にとっては大先輩)がおり、私は所詮多田先生傘下(多田塾)の数多くいる入門生の一人でしかないです。
もしもさらに詳細な教えを学びたいと言う方は、後述の本や動画を見たり、多田塾系列の合気道道場に入門することをお勧めします。
道場は楽屋、日常生活が舞台
あくまで合気道の稽古は、日常生活をより良く活きるための準備の場であるという考えから来ている言葉です。
合気道は前述のように試合はありません。そして護身術としても、正直のところ合気道の教えだけで己を強くできるかというと難しいと思います。
あくまで「動く禅」と呼ばれる精神の修養を目的にしているところから来ている言葉です。
ちなみに、場所にもよりますが、合気道に段位はあるものの、あまり技能の優劣というのも重視していません。
それよりも、技の稽古を通じた精神修養の方を重きにおいているためです。
心は音楽家、体は楽器
求める体の動きは心が描き、体は楽器として正確かつ、高いクオリティを目指したいという意味の言葉です。
前述の「道場は楽屋、日常生活が舞台」と同様合気道の稽古を通じて目指すものを表す言葉です。
どんなに強靭な体であっても、その心が修養されていなければ、逆に心が修養されていても、肝心の体に問題があれば、求めるパフォーマンスはできません。
多田先生はその例えとして「心は音楽家、体は楽器」と言う言葉を多く使われていました。
ちなみに、このほかダーツにおけるトレーニングの研究事例も出して、①単に無作為にダーツをなげる練習をさせたグループ②実践をさせずイメージトレーニングや正確な投擲理論だけを学ばせたグループ③両方をバランス良くトレーニングさせたグループの研究で③がもっとも成績が良かったということも例として出しました。
それだけ、心と体両方の修養を重要視しており、合気道の稽古は両方を修養するものであるとして教えられていました。
集中と傾注
集中と傾注という言葉もよく多田先生は使われていました。
志を持って何かを頑張る時、集中状態になることは重要であるが、逆に志に囚われすぎて傾注という状態になってはいけないということです。
合気道で技の稽古する目的は、これを学び・訓練することが目的の一つにあります。
例えば、初心の方ほど人を投げたりするときに、腕の動きや腕の力ばかりに囚われてしまいます。
しかしながら、実際は、相手との体の位置関係、自分自身の重心移動、体幹による動作も非常に重要になります。
合気道の稽古は、上手で綺麗な技を披露して目指すよりは、さまざまな体格の方との技の練習を通じてこのようなことを体と心両方で学ぶことが重要であると私自身は思っております。
詳細を学びたい方へ
最初の方でお伝えしましたが、多田先生に関する本や動画はいろいろあります。
また、神戸大学教授で哲学などの学者をされている内田樹先生をはじめ多田先生に教えをうけた方々が書かれた本もたくさんあります。
興味を持たれた方で、コロナ禍で合気道を今から始めるのはちょっと...と言う方は以下のような本・動画を手に取ってみても良いと思います。
終わりに
最後まで読んでいただきありがとうございました。
他にも多田先生は合気道を通じて様々な教えを説かれています。もしも機会があれば他の教えもご紹介できればと思います。
Photo by Jo Sorgenfri on Unsplash