長渕剛オンラインライブをインターネット業界人の視点で述べてみる

IT技術 長渕剛 雑記

この記事について

読書以外のテーマではあんまりプライベートなことをあまり書かないこのブログですが、実は子供のころから長渕剛さんのファンです。

8/22に長渕剛 LIVE-VIEWING 「ALLE JAPAN」という長渕剛さん自身初のオンラインライブが開催されました。私も1ファンとして参加しました。

参加人数を見たところ82000人近い参加者がいたようでとても大規模なオンラインライブであったと思います。ちなみに、長渕剛さんのファンの方ならピンとくるかもしれませんが、82000人の規模は、2004年の桜島オールナイトライブ以上の規模です。長渕さんの単体ライブとしてはかなり大規模であったのではないかと思います。

コロナウィルスの感染拡大を受けて、ほかのアーティストもオンラインライブを開催しています。私自身もインターネット業界の業界人の1人であり、今回の長渕剛さんのライブほど大規模ではないものの、インターネットのリアルタイムイベントについて、直接PJメンバーとして参加したり、PJメンバーとしては参画こそしなかったものの、サポートスタッフとしてPJ支援をした経験がいくつもあります。

この記事では、1長渕剛ファンであるとともに1インターネット業界人である私の視点で、このオンラインライブの参加体験の感想と今後の音楽関係のリアルタイムイベントの課題や展望について述べていきたいと思います。

従来の長渕剛さんのライブの様子と、インターネット業界人として参加前に考えていたこと

前提として、長渕剛さんのライブは基本的に観客参加型ライブです。拳を上げたり、長渕さんはギターを弾くのみで歌はファンが歌うパートがあったりします。※公式YouTubeチャンネルのライブ映像をいくつかピックアップしましたのでよろしければご視聴ください。

上記のように典型的な観客参加型のライブが主体なので、果たしてオンラインライブだとどうなるのかということは正直気になりました。

一応、インタラクティブトーク企画や離れているけど、みんなで歌おう「Myself」 〜長渕剛 LINE LIVE-VIEWING “ALLE JAPAN” 2020.8.22 スペシャル企画〜などの大衆参加型企画を行うようですが、果たしてどうなるのか。オンラインライブというよりは、いわゆるインターネット利用のテレビの音楽番組のような体裁になってしまうのかなど、とても気になりました。

加えて、テレビほどネット配信は安定していません。ときどき、配信トラブルがあり、中断したりすることもいまだに珍しくありません。その一方で、公式グッズ販売、4000円ほどのライブチケットと普段の現地開催のライブとオンライン以外の点では変わっていません。無事配信トラブルがなくライブを終えられるかとても心配でした。

また、一流アーティストだったら長渕さんに限らずですが、ライブの演出は一見即興のような演出含めて実は細かいところまでこだわりをもってセッティングされています。一流の方ほど細かいところまで妥協が一切ありません。上の動画でも一部ありますが、ちょっとでもミスがあったりするとアーティストから怒号が飛びます。観客参加型のライブではそれも単なる激として、一種の演出ととらえることはできますが、ネガティブなトラブルにならないか不安なところもありました。

以上のような感じで、1ファンとしてだけでなく、1業界人としてどんなライブになるのかとても気になるものでした。

オンラインライブの様子

すでに各種ニュースが流れていますが、こんな感じのオンラインライブでした。

第1部

第1部は「Japan」から始まり、「親知らず」、「ろくなもんじゃねえ」、「誰かがこの僕を」を演奏。MCもなく、普通の音楽番組のような流れでの進行でした。

第2部

第2部では笠井信輔さんが司会進行として登場。それと同時に事前応募で選ばれた300名の方のZOOM画面が現れました。もっとも1台のPCで家族全員が映っているものもあったので実際は2倍くらいの参加者の映像が映っていました。第2部は300人の中からさらに選ばれた6人の方と長渕さんが対話して、その方へのAlle Songを届けるという企画でした。

300人というのはネット帯域上の限界であったと思います。また、視聴者側の回線に影響がある故に、映りが悪い人もちょっとありました。また、300人映っていても300人の音声は同時に出すことはできず、映像だけなのも現在のネットの限界であったと思います。

第3部

第3部は第1部と同様、通常のライブ形式の進行となり、「GO STRAIGHT」「電信柱にひっかけた夢」「心配しないで」「Myself」を演奏されました。「Myself」においては、事前募集したファンの歌声を合唱形式で演奏と同時に流す演出がありました。

MCも全くない、音楽番組形式の進行と異なり、所々でMCが入ったり、途中300名のビデオを映してほしいなど普段のライブっぽい指示をスタッフにだしたり普段のライブっぽい演出でした。

ライブ終了後

「Myself」でライブ終了でしたが、そのまま配信は終了せず、楽屋の様子が配信されました。楽屋でスタッフに出されたスマートフォンの画面で流れるチャットを長渕さんが確認しながら、アンコールとして「StayDream」が演奏されました。

1業界人・1ファンとして感じた感想

まず、4000円のチケット、オフィシャルグッズ販売、参加者8万人という通常のライブと同じ要領で開催された本オンラインライブを無事配信トラブルなく3時間終えたのは、スタッフでもないのに、本当に安堵しました。おそらく、このイベントのためにLINE社の会場スタッフ、会場外でスタンバイしているエンジニアは非常に高い緊張をもって準備をされたのかと思っています。

2部のインタラクティブトーク企画、アンコールのチャットを見ながらの楽屋演奏などはオンラインライブだからこそできる企画だったと思います。この辺りは長渕さんのライブとしては新鮮でした。

一方で、やはり長渕さんが普段行っているライブとはやはりかなり遠いものと感じました。

事前に歌声を募集することによるMyselfの合唱、300人のビデオ中継など工夫はありましたが、今後のテクノロジーの発展により近づくことはできても、会場ライブとおなじものになるのは難しいと感じました。

もし仮に通信負荷問題が解決されて、8万人全員の音声、ビデオをつなげたとしてもリアルタイムでの「拳上げ」「合唱」パフォーマンスは難しいだろうなと思います。VR技術が発展すれば、「拳上げ」などはできるかもしれませんが、さすがに「合唱」は厳しいと思います。オンラインライブだと自宅ので視聴される方が多いはずです。それゆえにそもそも歌を歌うなどの大きな声を上げること自体が難しいのではないかと思います。それこそ、映画マトリックスのように、サイバー空間に意識レベルで入り込めるような技術がないと実現は難しいのかもしれません。

やはり、長渕さんが普段行うライブは、会場に実際に集まって一種の同じ空間を共有することでしかできないものであると痛感しました。

コロナ終息後にも引き続き、すべての音楽イベントがオンラインライブになるかというと疑問が残ります。

せいぜいプロモーションビデオのような観客参加が不要な演出限定のものか、今回あったインタラクティブトーク企画のようなトークライブ形式のものが残り続けるのが限界ではないかと思います。

ここまで、インターネット業界人視点でネガティブなコメントを残していましたが、1ファンとして、ハンディキャップはありつつも、久しぶりに長渕剛さんのライブに参加できたんだという実感は持てました。選曲、長渕さんのMCはいつも通りで、ライブ特有のじんと感動するものがありました。

本来の形の対面での開催ができない中ライブ開催を決断した長渕さん、数々のハンディキャップを克服するために様々な企画の提案や各種演出の工夫を凝らすことに尽力したLINEのスタッフの皆様には本当に感謝です。ありがとうございました。

Photo by Utsman Media on Unsplash

 みやうデジタルラボ - にほんブログ村