心理学者がユダヤ強制収容所を語る名著「夜と霧」

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この記事について

この記事では、ヴィクトール・フランクル著の夜と霧についてご紹介しようと思います。

出会ったきっかけ

きっかけをはっきり覚えていないのですが、当時心理学系の本を読みあさっていたときにたまたま紹介をうけたのがこちらの本でした。心理学者が、ユダヤ強制収容所の体のご自身の体験を、心理学的に語るということで、何か自己啓発的なヒントを得たいという気持ちの一方で、心理学者視点からみるユダヤ強制収容所の様子を知り教養を高めたいという気持ちなど様々な気持ちで購入を決意しました。

どんな本?

心理学者である著者が強制収容所に運ばれ、収容されてから解放されるに至るまで、そして解放後の身辺の変化について、ご自身の心理学者としての分析をまじえながら記載しています。

感想

ユダヤ人と第二次世界大戦の話については、小中学校でも習いましたし、「シンドラーのリスト」、杉原千畝のドキュメンタリーなども何度かみており、ある程度知っているつもりでした。でも、実際に収容所に運ばれたユダヤ人自身の体験を読むというのが初めての体験でした。心理学者が自身の体験を元に分析するので、実際に自分が体験しているような気持ちになります。正直のところ、今までいかに過去のことという風にしか受け取っていなかったということを感じました。「生きていく」という最も本質的な本能にかられる一方、その中にも存在する人間性が現れるエピソードの一つ一つにショックを覚えました。

ここまでは、過去の爪痕をしるという意味での感想。ここからが心理学書としての感想です。心理学書として最も印象にのこったのことは「生が私に何を求めているのか」というまったく逆の発想です。この言葉をみた時、辛い時に「なんのために頑張ってんだろ」とか、もっとひどい「なんのために生きているんだろう」という気持ちを持つことについて恥ずかしく思ってきました。ここまでの境地に陥りかつ、心理学者というメンタル研究のプロである筆者だからこそたどり着いた言葉でありますが、重すぎてまだ自分の中では咀嚼しきれていません。しかし、生きるということについてあらためて考え直すきっかけでした。

おわりに

この本を手に取るきっかけを持つ人は様々な理由があるとおもいます。いずれにしても、読んだあと、何かを考え直すきっかけになる一冊になるかと思います。なお、個人的には筆者はもう一冊「それでも人生にイエスと言う」という本を出しています。なかなか縁がなく、まだ読む機会に恵まれないのですが、いつかこちらも手にとって読みたいと思っています。

Photo by Daria Nepriakhina on Unsplash

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