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近年、老後のためには年金とは別に2000万円必要とされる、「老後2000万円問題」が騒がれています。積立投資が解決の鍵と言われていますが、積立投資をする場合どのくらいが必要なのか検証してみました。
結論
厳しいです。少なくとも毎月5万円以上の積立をしないと20年ではたどり着くのが難しいです。
それでは実際に調査してみます。
一般理論の場合
まず一般理論で計算してみます。一般的に株式投資であれば、積立投資をすれば平均6-8%のパフォーマンスと言われています。積立NISA利用などを考慮して20年積み立てると考慮して計算してみました。計算は自力でもできますが、今回は、楽天証券の積立かんたんシミュレーションを使って計算してみました。
計算した結果がこちらです。
年利 | 毎月の積立額 | 積立額 | 総資産額 |
---|---|---|---|
6% | 50,000円 | 12,000,000円 | 23,102,045円 |
8% | 50,000円 | 12,000,000円 | 29,451,021円 |
6% | 40,000円 | 9,600,000円 | 18,481,636円 |
8% | 40,000円 | 9,600,000円 | 23,560,817円 |
6% | 30,000円 | 7,200,000円 | 13,861,227円 |
8% | 30,000円 | 7,200,000円 | 17,670,612円 |
毎月5万円積み立てることができれば、年利6%でおよそ資産が2倍になり、20年で2000万円を超えることができるようです。年利8%ならば月4万円でも2000万円に到達できるようです。もっとも年利8%でも月3万円になると2000万円は到達することはできないようです。
なお、積立NISAの場合年間40万円までです。月4万だと48万となり、8万円分は課税控除対象にすることができません。理論上積立NISAの額だけでは老後2000万円問題は解決することはできないようです。
過去の推移でシミュレーションした場合
ここまでは理論値でした。続いて現実の推移をもとにシミュレーションしてみます。
今回は、アメリカ市場への投資についてデータ観点から検証してみたでも利用したアメリカ市場の代表指数であるS&P500と連動するSPYと日本の指数と連動するEWJで検証してみます。海外ETFのため、ドル建てなので、1ドル100~110円前後とみて、おおよそ200,000ドル積み立てれば2000万円ためられることになります。
下のグラフは上述の記事で掲載した毎月1000ドル(およそ10万円)の積立投資を20年の積立たときの資産変化のグラフのうち、SPYとEWJだけを抽出したものです。
表でみるとこうなります。
積立年月 | 積立資産 | SPY | EWJ |
---|---|---|---|
2000/08 | $1,000 | $1,000 | $1,000 |
2010/08 | $97,000 | $112,032.10 | $119,496.80 |
2020/04 | $237,000 | $486,777.08 | $282,084.76 |
20年で毎月$1,000だと、20年で元本も$200,000,000に到達してしまいますが、一応日本株・米国株ともに20年目到達する前に$200,000,000には辿り着くようです。一応米国株については$500、おおよそ5万あれば到達できるようです。理論値では年利6%で5万でしたが、日本株だと年利6%は難しく、毎月5万積立では2000万円の到達は厳しいようです。ただし、米国もここ10年が非常に好調であったという事情があります。この先20年も確実に同じペースでいけるかとなると疑問になります。
考察
一般理論の年6-8%なら5万あれば良いとされていますが、ここ20年の実績だと好調だったアメリカの指数を使って到達という数字でした。日本株だと毎月10万も積立ないと厳しいようです。いずれにしろ積立NISAの限度額を超えるため、税金の問題を考えると5万以上積立ないと20年で到達は厳しいようです。
また今回は比較的リスクの高い株式での計算でした、リスクは低いものの利回りが低い債券だともっとたくさんの額を積み立てるか、長い年数を待つ必要があります。株価については過去にリーマンショックで半額まで下がった実績を考えると、このリスクの存在も老後2000万円問題を考慮すると難しい課題と思われます。
終わりに
以上から積立投資で老後2000万円問題を解決するにも、毎月5-10万以上の積立、さらに株式が持つ高いリスクに耐える必要性があるなど、積立投資が老後2000万円問題の心強い救世主であるとはかならずしも言えないようです。
あくまで素人の調査結果ですがお役に立てれば幸いです。
Photo by Jessica Ruscello on Unsplash