アメリカ市場への投資についてデータ観点から検証してみた

投資 投資戦略を検証してみた

この記事について

今日ではとりあえず投資先としてアメリカをまず第一ターゲットにあげると思われます。この記事では、アメリカ株投資が一番といわれる定説について、データを元に検証していこうと思います。

今回検証に使うデータ

ドル建て基準でみたいということと、積立NISAが20年ということで、20年は運用を続けている各国のファンドという条件で5種類のETFを選んでみました。

それぞれのETFの20年間の価格帯は以下となっております。

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まず簡単にそれぞれのETFについて解説します。

SPDR S&P 500 ETF(SPY)

SPDR S&P 500 ETF通称SPYは、現存するETFではもっとも古い歴史を持つETFです。指数とするS&P500指数は米国の主要大企業500社の指数です。投資の神様とされるウォーレンバフェットが奥さんへ、自身の亡き後はS&P500の指数にインデックス投資するようにと言ったほど、優秀な指数と言われております。上記のグラフにあるように、ほぼ一貫して右肩上がりです。

iシェアーズ MSCI ブラジル ETF(EWZ)

iシェアーズ MSCI ブラジル ETF、通称EWZはMSCIブラジル指数により測定されるブラジル市場の公開取引証券の価格・利回りのパフォーマンスの連動を目指したETFです。SBI証券の説明によると、同指数は公に入手可能な時価総額の85%をとらえることを目的とする時価総額加重指数だそうです。今回検証するETFでは最も若く、2000/07/10から運用されております。

iシェアーズ MSCI ドイツ ETF(EWG)

iシェアーズ MSCI ドイツ ETF、通称EWGはMSCI ドイツ・インデックスと同等の投資成果をあげることを目指すETFです。大型/中型株(時価総額の上位約85%)をカバーをするようにした指数のようです。1996/03/12から運用されております。

iシェアーズ MSCI ジャパン ETF(EWJ)

iシェアーズ MSCI ジャパン ETF(EWJ)はMSCIジャパンインデックスという指数に連動するように作られたETFです。日本に上場する大・中型株を対象にしたインデックスです。現在319銘柄が採用されており、日本株市場の約85%をカバーしているそうです。(参考)日本で言うとTOPIXや日経平均のほうが有名ですが、ドル建てかつ、20年の運用があるものとしてこれを検証に選択しました。ドイツのEWJとおなじく、1996/03/12から運用開始しています。

iシェアーズ MSCI 韓国 ETF(EWY)

iシェアーズ MSCI 韓国 ETF(EWY)はMSCI韓国25/50インデックスに連動するように作られた指数です。韓国の大型株と中型株の動向を示す時価総額加重平均型の株価指数です。2000/05/09から運用されています。

検証1:ボラティリティでみてみる

最初にお見せしたグラフでは価格帯が5ETF全く異なっており、米国のSPYが圧倒的に高い状態になっています。これでは比較にはならないので、2000年8月を基準として%ベースでどれだけ変化したのかをみていくこととします。

以下は2000年8月を100%の基準とした上で再構成したグラフです。

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ブラジルのEWZ、韓国のEWYが非常に高いボラティリティを出している一方、米国のSPY、ドイツのEWG、日本のEWJは大きな変化はありません。

興味深いのが、指数的に優秀といわれたはずのS&P500が今回の20年間のうち、半分以上の期間で100%割れを起こしています。もっとも原因はドットコムバブルのピークを指してしまったのが原因と思われますが、これだけをみてしまうと、最終的には、200%ほどのパフォーマンスを出している一方で、前半は不安のある状況であると言えます。その点で、ドイツのEWGの方が米国のSPYよりもプラスの時期が多く、投資家にとっては安心できる値かもしれません。

ブラジルのEWZと韓国のEWYについては、高いパフォーマンスを出している一方落ちる時も激しいです。特にEWZは500%近いパフォーマンスを一時期だしていたのに、現在は100%台に戻っています。もしも500%ときに買っていたら現在は株価が5分の1であり、ある意味精神的にとても辛い値です。

検証2:20年間のドルコスト平均法での積立でみてみる

検証1は、価格の変化率でした。しかし、ドルコスト平均法でインデックス投資をすると思われるため、毎月1000ドルずつ購入すると想定してシミュレーションしてみます。なお、本来はETFは端数口購入はできませんが、今回はあくまで検証として、端数口購入も可能という想定で計算しています。

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以前の「インデックス投資でETFと一般投資信託どちらが良い購入対象なのか検証してみた」という記事の番外でも触れましたが、ドルコスト平均法の価格が安い時に大量に購入し、高い時に抑えめに購入する効果が出ており、米国のSPYだけでなく、5つの中で最もボラティリティの低かった日本のEWJもほぼ全体的にプラスの運用成果になっています。

一方で興味深いのはブラジルのEWZと韓国のEWYです。

EWZに関しては、検証2のグラフで変化が激しいといいつつも、2000年8月時点の価格を割れることはありませんでした。しかし、ドルコスト平均法の資産積立では2015年頃と、2020年の現在、投資資産が元本割れしています。原因は定かではありませんが、前半部分で高い指数を推移し過ぎた結果、後半の暴落が相当響いたということでしょうか。

逆に韓国のEWYは最近こそ米国のSPYに負けておりますが、2015年頃に抜かれた後も、2017年に一度巻き返し、全期間中のパフォーマンスではとても高い位置にいました。ブラジルのEWZと同様、ボラティリティが高いのでひょっとしたらこのあとまた逆転があるかもしれません。

まとめと考察

以上検証1、検証2を元に考察してみます。

今でこそ、米国に積立投資していた人が最も高いパフォーマンスをあげたと言えますが、それまでの道のりは米国株は前半苦しい時期が多かったです。

一方でブラジル株で積立投資を選んだ人は前半は謳歌しておりました。しかしながら、現在ブラジル株で積み立てていた人は元本割れという事態にまで陥っています。

安定感と言う意味では優等生はむしろ目立たないドイツや日本ですが、この2つを選んでしまうと、安定こそすれど高いパフォーマンスはだせていません。むしろ動きのトレンドは米国も日本・ドイツ寄りで、近年のパフォーマンスが以上に高いので、ひょっとしたらある種のバブルが発生しているのかもしれません。経済・産業の状況を考えない上での思考ですが、次の10年は2000年代のような停滞が続く可能性もありそうです。

以上を総合的にみてみると、確かにアメリカは、FTSEグローバル・オールキャップ・インデックスの指数にある通り、時価総額で計算してしまうと世界の5割を占めているほど市場の中心的な国であるといえます。ただし、積立のインデックス投資を行い、もしも高いパフォーマンス、安定した資産成長を求める場合、2000年代の前半の数字が物語ったように、アメリカ一本、あるいはFTSEグローバル・オールキャップ・インデックスに連動するVTなどのアメリカの影響を受けやすいETF一本の投資手法は本当に最良の選択肢かどうかははっきり言えないと思われます。

アメリカが現在世界の市場の中心であり、今後もその傾向が続きそうな以上、アメリカを除外するという選択肢が難しいのは事実です。一方で他の国ではアメリカ以上の高いパフォーマンスを出した年があった一方で、暴落が続く悪い時期があったりで、20年間常に安定した高いパフォーマンスが出せなかった事情を考えると、アメリカを外さないにしても、アメリカ以外の国からもまんべんなく影響をもられるように分散投資するのが最良かもしれません。

おわりに

最後の「アメリカ以外の国からもまんべんなく影響をもられるように分散投資する」という仮説はあくまで仮説です。今回、アセットアロケーションを組んでどのようなパフォーマンスになるのかの検証はしていないので、今後どこかで検証ののち記事を書いてみようと思います。

あくまでアマチュア投資家の簡単な実験結果報告ですが、インデックス投資の指数選びの参考になれば幸いです。

Photo by M. B. M. on Unsplash

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