移動平均線の有効性をシステムトレード観点で検証してみる

投資 投資戦略を検証してみた

以前の以下のような記事を書き、システムトレードのシミュレーションをしてみました。

戦略が単なる順張りだったためか、結果は勝ち負けうんぬんより税金と手数料によってジリ貧にされるという散々な結果でした。

もう少しまとまな戦略ならもう少し良い結果がでるのかと思いこの記事では、トレード戦略のなかでも特にメジャーとされる移動平均線を使ったトレード戦略の有効性について過去の実績をもとにシミュレーションを行い検証してみました。

目次

移動平均線を使ったトレードについて

そもそも移動平均線を使ったトレード戦略について知らない方もいると思うので解説します。

移動平均線を使ったトレード戦略とは過去の一定期間の平均の価格の線を実際の価格と比較して、上昇と下降のトレンドを見極め売買の判断をする戦略です。

さまざまな期間がありますが長期トレンドで特によく使われる26週平均線の例を見てみましょう。

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上の図では現在価格と移動平均線で比較しています。

矢印をつけたところがトレンドの変化のポイントです。

左から一つ目のポイントはこれまで移動平均線より下回っていた現在価格が移動平均線を超えて上昇トレンドにはいったことを意味します。このタイミングで買うことが良いとされています。

逆に左から2つ目のポイントはこれまで一貫して上回っていた現在価格が移動平均線を下回りました。ここは上昇トレンドの終了で売判断が良いとされています。

移動平均線一本で判断しましたが、他の移動平均線もつかって判断する戦略もあります。

以下は短期移動平均線である13週移動平均線と長期移動平均線である26週移動平均線を使った分析です。

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左から最初の短期移動平均線と長期移動平均線のクロスをゴールデンクロスと言います。上昇トレンドが始まりで買いシグナルだとされています。

左から2つ目のクロスを逆にデッドクロスと言います。こんどは上昇トレンドの終わりで売りシグナルとされています。

移動平均線をつかったトレード戦略はかなりポピュラーでテクニカル分析に採用する人も多いようです。今回はこの移動平均線をつかった戦略でシミュレーションをしてみます。

今回の検証内容

今回は26週移動平均線を使った戦略と、13週移動平均線と26週移動平均線を使った戦略の2つを検証してみます。

便宜上それぞれトレンド戦略とクロス戦略と名付けます。

それぞれ以下のルールとします。

トレンド戦略

  • 初期投資資金は10000ポイントとする
  • 26週移動平均線と現在価格が上回ったら上昇トレンド発生として資産購入を行う
  • 26週移動平均線と現在価格が下回ったら上昇トレンド終了として資産売却を行う
  • 取引金額は毎回所持資産の30%分の金額とする
  • 手数料は0.01%、譲渡益の課税は20%とする

実際にシステムトレードのシミュレーションに使ったコードはこちらです。

クロス戦略

  • 初期投資資金は10000ポイントとする
  • 13週移動平均線が26週移動平均線を上回るゴールデンクロスが発生したら上昇トレンド発生として資産購入を行う
  • 13週移動平均線が26週移動平均線を下回るデッドクロスが発生したら上昇トレンド終了として資産売却を行う
  • 取引金額は毎回所持資産の30%分の金額とする
  • 手数料は0.01%、譲渡益の課税は20%とする

実際にシステムトレードのシミュレーションに使ったコードはこちらです。

今回はinvesting.comで取得できた期間の以下の金融資産とします。

  • S&P500:米国主要企業500社の指数
  • 金先物
  • VWO:バンガードFTSEエマージング・マーケッツETF:主要新興国の株式指数

それぞれ価格の変化は以下です。S&P500は右肩上がり、金先物は前半停滞も後半急上昇急下降、VWOはジグザグな変化です。

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検証結果

それでは検証結果を見てみましょう。

まずはS&P500指数です。

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クロス戦略のほうは右肩あがりでパフォーマンスをあげている一方で、トレンド戦略は1999年以降元本割れこそしないものの停滞しています。

続いて金先物です

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トレンド戦略は後半から高いパフォーマンスを出しています。

しかしながらクロス戦略は後半から元本割れを起こし持ち直していますが最終的には若干の元本割れとなっています。

最後にVWOを見てみましょう。

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両戦略とも同じような動きです。クロス戦略について若干元本割れがあったものの、一応元本超えで両戦略とも着地しています。

考察

前回までの散々な成績を考えると移動平均線の戦略が非常に優秀とわかります。

手数料・税金を考慮しているにもかかわらず全6データ中5データが元本超えで着地しています。

一方で、資産購入が元本の30%というルールにしているとはいえ、最高のパフォーマンスが50年以上運用して初期購入ポイント3000ポイントの4倍である12000ポイント程度しかないものは気になります。

レバレッジや下降発生時に空売りをすることでさらにパフォーマンスを期待できますが、やはり長期でホールドした方が最終的なパフォーマンスは高そうということが伺えます。

今回の検証戦略も元本30%としましたがリスクの許容範囲内で行なった方がよさそうです。

終わりに

引き続き気になるテーマがあれば検証記事を買いてみたいと思います。

最後まで読んでいただきありがとうございました。

Photo by rupixen.com on Unsplash

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