この記事について
気になる株式投資戦略まとめでも記載しましたが、株式投資の2大戦略は、成長株を購入するグロース投資と、割安株を購入するバリュー株です。この2つは相反するものではなく、世界一の投資家の一人ウォーレンバフェットのように両方を踏まえた投資をする著名投資家もいます。しかしながら、どちらかに振り切った場合、どちらのほうが得するのかについては永遠の議論テーマとなっています。
この記事では、ETFと積み立て投資の視点からグロース投資とバリュー投資、どちらのほうが利益が得られるのか過去のデータを使って検証してみようと思います。
注意
あくまで調査をベースにした分析です。特定の戦略を推奨するものでもありません。戦略の判断はご自身の自己責任の下お願いいたします。
今回検証につかうもの
今回検証につかうものは、以下の4種類です。
- バンガード・米国グロースETF (VUG)
アメリカ全体の成長株を集めた指数です。 - バンガード・米国バリュー ETF(VTV)
アメリカ全体のバリュー株を集めた指数です。 - バンガード・米国スモールキャップ・グロースETF(VBK)
アメリカの小型株全体の成長株を集めた指数です。 - バンガード・米国スモールキャップ・バリューETF (VBR)
アメリカの小型株全体のバリュー株を集めた指数です。
VUG,VTV,VBK,VBR4つの設立からの価格の変化は以下になっています。
ここからは、アメリカ全体のVUGとVTV、小型株のVBKとVBR2つのペアを比べながら検証してみることとします。
価格の変化を確認
まず初めにそれぞれの設立当初月の価格を100として変化率を見てみます。
一つ目はアメリカ全体のVUGとVTVです。
リーマンショック前はバリュー株VTVのほうが価格上昇が大きい状態でした。しかしながら、リーマンショック後はグロース株のVUGが上回り、コロナショックの今となっては2倍以上の差をつけられてしまいました。
続いて小型株のVBKとVBRを見てみます。
こちらもリーマンショック前はバリュー株のVBRのほうが価格が高いときが多かったようです。ただし、アメリカ全体のVTVとVUGほどの差はありません。また、リーマンショック前のサブプライムショックの2007年ころのタイミングですでに、VBRはVBKに負けています。リーマンショック後はVTVとVUGと同様の傾向でした。コロナショックがあった今ではこちらも2倍以上の差をつけられてしまいました。
以上2パターンを見てみると、リーマンショック前はバリュー株のほうがわずかに優位だったようですが、リーマンショック後は圧倒的な差でグロース株が上回っています。一方どちらも共通の傾向として、グロース株のほうがボラティリティが大きく、上がるときも下がるときも激しいようです。反対にバリュー株は上がり方も下がり方もグラフ上はマイルドのように思われます。ただし、リーマンショックに限ってはバリュー株のほうが大幅に下がっています。
積み立て投資をするとどうなるか
続いて毎月$1000分ETFを購入する積み立て投資のシミュレーションをしてみます。まずはアメリカ全体のVUGとVTVです。
注目はリーマンショック前です。リーマンショック前もグロース株のVUGがバリュー株のVTVと並んでしまいました。やはりドルコスト平均法で購入すると、右肩上がりに上昇する限りはボラティリティが高い資産のほうが有利になってしまうようです。
続いてVBRとVBK、小型株の積み立て投資結果も見てみます。
こちらもリーマンショック前の資産額でもグロースVBKがVBRに並んでしまうようです。VTV以上にリーマンショック前にVBRが勝るタイミングが少ない状況です。
考察
以上がシミュレーションの結果でした。アメリカ全体と小型株それぞれみましたが、どちらも傾向は一緒のようです。グロース株とバリュー株の上昇度合いはリーマンショック前はバリュー株が上、リーマンショック後はグロース株が上ということを見ると、価格単体では一概にもどちらが良いかは言えないようです。
もっとも、ボラティリティでは高めのグロース株のほうが、ドルコスト平均法の積み立てではどの期間も勝ってしまいました。その点で長期で右肩上がりの上昇が望めるならば、グロース株で積み立て投資を選択したほうがいいのかもしれません。
もっともボラティリティが高いということはリスクが高いことを意味します。その点で精神的にそのボラティリティに耐えられるかということも積み立て投資でポイントになるかと思われます。
終わりに
以上でグロース株とバリュー株のデータ観点からの調査結果でした。今回はグロース株のほうが有利のように見えますが、たかだが15年の調査結果であるため、断言はできません。また、今日はグロース株が圧倒的なパフォーマンスを出し、バリュー株はオワコンという人もいますが、グロース株はむしろ上がりすぎではという意見を言っている人もいます。
本調査が少しでも投資戦略の参考になっていただければ幸いです。