この記事について
初心者向けにインデックス投資投資戦略をまとめました。インデックス投資が未経験でやってみたい方に参考になっていただけますと幸いです。
そもそもインデックス投資とは
個別の株式や債券を購入するのではなく、日本だと日経平均やTOPIX、米国だとダウ、S&P500など株式の指数に投資する戦略です。一見難しいように見えますが、今日では指数に連動するように作られた投資信託商品があります。それを購入するだけでこの戦略をとった投資をすることができます。初心者にも取り組みやすい戦略です。
インデックス投資の魅力
指数を追いかけるだけという簡単さだけではなく、インデックス投資には様々な魅力的な点があります。
世界経済は右肩上がりで良くなっている
下のグラフをみてください。こちらはアメリカ株式市場の大企業500社を選定した指数S&P500指数の過去50年間の価格変動のグラフです。
グラフをみて分かる通り、世界の経済、株価は一貫して右肩上がりで成長しております。このグラフは50年ですが、これが100年以上のスパンとなっても変わっていないことが経済学者達の研究でわかっています。インデックス投資は世界経済の成長を信じて、指数に投資する戦略となります。
アクティブ投資家の7割に勝てる
インデックス投資は指数に連動する資産を購入し続けるだけなので非常に簡単です。それにもかかわらず、その他の投資戦略(インデックス投資と対になるものとしてアクティブ投資といいます)の7割に勝つという実績があります。さらに、ある特定の年で運良く3割に入れたアクティブ投資家も毎年常に勝者3割に入ることができるわけではなく、インデックス投資に長期的に勝ち続けている投資家はさらにほんの一握りといわれています。
ドルコスト平均法の魔力
インデックス投資と少し離れますが、ドルコスト平均法という積立投資戦略があります。ドルコスト平均法とは、毎月、毎週など一定間隔で同額の金額で資産を買い続けるという戦略です。株価は毎日上下に変動しますがこの戦略をとると、いわゆる高値掴みという売買タイミングの失敗をしないで済むようになります。
加えて、価格が高い時に抑えめに購入し、価格が低い時に多めに購入するため、リーマンショックのようないつか必ず遭遇しうる暴落局面に対しても、資産価格よりも早く元本を回復できるというメリットがあります。
実例をみてみましょう。下のグラフは日経平均の1985年から2020年現在までの値動きです。日本株は1990年初めにバブル経済を経験したため、1990年の高値をいまだに更新することができていません。
しかしながら、この期間でもしも毎月1万円でドルコスト平均法で積立投資をしたときの資産の変化グラフが以下になります。
バブル崩壊以降、日本株については長期にわたってバブル時の最高値に戻らず低迷していますが、ドルコスト平均法の積立投資をした場合、少なくとも損失については実態株価よりも先に元本回復して上昇に転じています。なお、日経平均も1-2%ほど毎年配当が入っているため実際はもっと総資産は上がっている可能性があります。
日経平均以外の積立投資の実績も見てみましょう。下のグラフはS&P500でドルコスト平均法を行ったときの成果です。
アメリカ株については、日本ほど巨大なバブル相場を経験していないため、ドルコスト平均法による積み立てによって50年間で非常に大きな資産成長を達成することができました。このようにインデックス投資とドルコスト平均法の組み合わせは強力な資産形成力を持っています。
インデックス投資のイマイチな点
投資は自己責任ですのでここでインデックス投資のイマイチな点についても触れておきます。
年利回りはせいぜい4-8%
選択した指数にもよりますがせいぜい利回りは年4-8%です。先述のようにS&P500のような優良な指数に投資すれば、安定した利回りを享受できる可能性はありますが、他の投資に比べるとゆっくりと上がっていくため、派手さはありません。
暴落時は忍耐が必要
リーマンショック級の暴落時には資産が半分になる可能性もあります。長期的には元本を戻す見立てのもとにはありますが、暴落のショックで投資を撤退しない忍耐力はある程度必要です。
インデックス投資のはじめかた
それではインデックス投資のはじめかたについて簡単にご紹介します。
証券口座を作る
まず、証券口座を作るところからはじめます。最近の証券口座は、インデックス指数系の投資信託だと手数料無料のところが大半ですが、SBI証券や楽天証券などネット証券系の口座のほうが手数料抑えめかつ手軽に開設できます。
ちなみに、私自身はSBI証券、SBIネオモバイル証券、楽天証券の3証券に契約しています。それぞれの感想については以下に記載してますのでよろしければご確認ください。
また、もしもNISA口座や積立NISA口座作れたら、税金の節約もできます。NISA口座なら毎年120万円を5年間、積立NISA口座であれば毎年40万円分を20年間非課税で運用できます。どちらも強力ですが、長期を視野に入れたインデックス投資の場合積立NISAをおすすめします。
さらに401Kの確定拠出年金を勤め先企業が加入していましたら、一般の証券口座だけでなく、そちらでもはじめられます。年金の給付タイミングや投資商品に若干の違いがあるだけなので基本的に同じ要領ではじめられます。
投資信託商品を選定して積立設定をする。
インデックス投資を始める方法は投資信託の購入が基本です。加えて、SBI証券、楽天証券などの主要なネット証券では積立設定機能があります。投資対象とする投資商品を決めたら、定期的にいくら分購入するのか積立設定をするだけで定期的に自動購入してくれるようになります。これだけでインデックス投資の準備は完了です。
なお、実際の投資信託の商品選定については後述の指数の選び方で述べます
インデックス投資で大切なこと
最後にインデックス投資をする上で大切なことを解説します。
基本は株と債券、リスク許容度に合わせて債券の割合を増やす
金融商品には、株、債券、REIT、金など様々な商品がありますが、初心者は株と債券の2つで問題ありません。後述しますが、株は変動幅が大きいものの長期的には高いパフォーマンスを出す特徴がある一方で、債券は株ほど高いパフォーマンスはでないものの、リーマンショックのような暴落に強く、安定的なパフォーマンスを出せるという特徴があります。
前述のように、株は高いパフォーマンスが出せるもののリスクが高く、債券は高いパフォーマンスは期待できないもののリスクが低いという特徴があります。そのため、ご自身のリスク許容度にあわせて両商品の割合を調整することが必要です。考え方として、多少の暴落があっても気にせず、長期的に運用ができる方でしたら、株7:債券3とした方が高いパフォーマンスが望めます。逆に暴落が心配であったり、非常時にインデックス投資の資産を削って生活資金として使うことも想定される方は、債券の割合を増やして、株3:債券7にしたほうがパフォーマンスは控えめになりますが変動幅が低く、安定した運用ができます。
投資対象はアメリカ株を主軸に考える
投資対象の国に関してはアメリカ株を主軸にしましょう。下の円グラフはバンガードトータルワールドストックETFという、時価総額加重での全世界の株価指数に連動した投資商品における、2020年9月現在での各国の比率です。
なお、ETFとは上場投資信託の略で株のように、市場でリアルタイム売買ができる投資信託です。これを使ったインデックス投資も可能ですが、初心者の方は一般的な投資信託でインデックス投資をすることをおすすめします。
グラフが示すように、アメリカが5割以上を占めており、アメリカが世界の金融の中心であることを示しています。それ故にアメリカ抜きにインデックス投資をするという選択肢は避けた方が良いです。基本はアメリカの指数のみを追っていくか、アメリカに限らず世界全体の指数を追っていくかの2択を検討することになります。
純資産(時価総額)や信託報酬、売買手数料を気にしてみる
証券口座の取り扱い商品をみると、例えば同じ日経平均の投資信託でも様々なものがあります。この時に参考になるのが、純資産(時価総額)や信託報酬、売買手数料になります。
純資産(時価総額)は実際に当該投資信託を購入した人によって集まった資産の額です。この額が高いほど、人気がありたくさんの人が買われていることになります。できたばかりの商品であれば問題ありませんが、ある程度運用実績があるのにもかかわらず、他と比べてあまりにも低すぎる投資信託、売却者が続出して現象傾向の投資信託は、将来的に運用停止されるリスクもありますので気をつけましょう。
信託報酬や手数料は、コストであるため重要です。インデックス指数の投資信託はほとんどが手数料無料ですが、信託報酬は若干のばらつきがあります。なるべく低いものを選ぶといいでしょう。
余剰資金で始める
インデックス投資に限らず投資全般にいえますが、生活に使う資金とは別に余剰資金ではじめることが鉄則です。インデックス投資のイマイチな点で述べたように、暴落時は最悪資産が半分になるなど手痛いダメージを受ける可能性もあります。それ故に生活資金とは別の余剰資金でコツコツ積立てながら始めることが重要です。
途中でやめない
繰り返しになりますが暴落時は最悪資産が半分になるなど手痛いダメージを受けます。それでも、資産を売却して撤退したりしない精神力も必要です。暴落がどうしても怖い人は、債券の割合を高くするようにしましょう。
また、他の高いパフォーマンスを出している投資戦略があったとしても、そちらに乗り換えず貫き通すことも必要です。この点についての対策としては例えば投資資金の80%はインデックス投資をして、残りの20%を他の短期的な投資戦略を採用したりすることで、他の投資戦略も趣味程度にやってみることが心の対策としておすすめです。
定期的なリバランスも意識する
長期的に運用していくと、株式のほうがパフォーマンスが高いため、例えば株6:債券:4としても、株8:債券2と株の割合が高まっていきます。その際は上昇してしまった2割分の株を売却し、売却分で債券を購入してリバランスすることがおすすめです。リバランスすることで、株式で得た利益を利確して安全な債券にすることで、暴落リスクを減らすこともできます。
終わりに、さらなる勉強をしたい方へ
以上が初心者向けのインデックス投資の解説でした。ここまで読んでいただいた方ならお気づきと思いますが、初心者向けの学習コストの低い投資手法ではありますが指数の選択など極めようとすると奥は深いです。さらなる学習をしたい方のために、おすすめの書籍と私自身がインデックス投資の調査のために書いた記事をご紹介します。
おすすめ書籍
お金は寝かせてふやしなさい
インデックス投資を長く続けられているブロガーの水瀬ケンイチさんの本です。インデックス投資の専門書です。この1冊で口座の作り方、金融商品の選び方、投資を実践する上での各種考え方=投資哲学を学べます。私の書評もありますのでよろしければこちらもご覧ください。
本当の自由を手に入れるお金の大学
YouTubeチャンネル両学長 リベラルアーツ大学でお金に関する講義動画を投稿している両さんの本です。投資に限らず、ファイナンシャルプランニング全般を広く取り扱っています。投資に限らず、将来の資産戦略を学びたいという方はこちらを手にとってみることがおすすめです。投資もインデックス投資だけでなく、高配当投資、不動産投資を取り扱っており、入門書として最適かと思います。
私の執筆記事
私が投資ノートとして調査したインデックス投資に関する記事です。私の記事はかなりマニアックなものが多いですが、もし気になったものがありましたら読んでいただけますと幸いです。
以上です。この記事を通じてインデックス投資に少しでも興味を持っていただけましたら幸いです。最後まで読んでいただきありがとうございました。
Photo by Austin Distel on Unsplash