この記事について
前回、高配当株投資の積立と純粋インデックス投資の積立どちらが高いパフォーマンスをだすのか検証してみたで高配当株投資について検証しました。今回はもう一つジェレミーシーゲル著「株式投資の未来 永続する会社が本当の利益をもたらす」で言及されていた増配株投資について調査してみようと思います。
今回検証に使うもの
今回も書籍上ではS&P500の中で増配を続けた高配当株10社を対象にしており、高配当+増配の合わせ技ですが、過去のリストを取得できませんでした。そのため、バンガード・米国増配株式ETF (VIG)で代用してみることにします。こちらのETFは米国株の中で10年以上連続増配を続けている株だけをピックアップしたETFとなっております。
なお、比較対象とする純粋インデックス投資の対象ETFは今回もSPYとします。こちらが対象に使うETFの価格変化グラフです。
基準価格の推移
今回もまず、2006年5月を基準点として、基準価格からの推移をみてみます。
SPYとほぼ同じ推移をしながら、VIGの方が低いボラティリティを示しています。2016-2018年の米国株全体の上昇時にはSPYが逆転していますが、近年の不安定期の影響を受けて再びVIGがSPYよりも高値をだしています。VIGは安定感がとても高いETFであるということが言えると思われます。
積立投資のシミュレーション
それでは今回も$1000で積み立てた時のシミュレーションをしてみます。以下がシミュレーションしたグラフです。
わずかではあるものの、資産のトータルはVIGが劣ってしまいました。2016-2018の米国株全体の上昇時だけでなく、価格ではVIGが上回っていた近年の不安定期でもSPYの方が上回っています。
高配当株投資との比較
前回、高配当株投資の積立と純粋インデックス投資の積立どちらが高いパフォーマンスをだすのか検証してみたで利用したVYMとVIGでも比較してみます。
こちらは、コロナショックまではVYMが上回っていましたが、コロナショックでVIGが逆転していました。
考察
価格水準だけでみると、VIGの安定感は魅力的でした。しかしながら、ドルコスト平均法の積立投資をすると長期的な資産になると、時価ではVIGのほうが上回っている時でさえSPYに勝てないという現象が発生してしまいました。原因は、資産が安いときに多く資産を買い、安いときに抑え目に資産を購入するドルコスト平均法の影響があると思われます。前回のVYMとSPYはボラティリティはほぼ同じだったことを考えると、同一の上昇傾向を保てるのであれば、ボラティリティが高い資産の方が積立投資には有利ということがあらためていえるとわかります。
高いボラティリティと言えば、レバレッジ商品で積立投資をするとどうなるのか調査してみたで検証したように、レバレッジ銘柄を使うと非常に高いボラティリティが出せており、現実に高いパフォーマンスをだせています。もっとも、ジェットコースターのような上昇と急降下をします。これは精神的に耐えられるのだろうかという見解を持ちました。その点でもしも、SPYのボラティリティも精神上耐えられない人であれば、VIGを候補として積立投資するのは良い選択と言えるかもしれません。ただし、アセットアロケーションの効果についてデータを元に検証してみるでみたように、ボラティリティは抑えめにすることはできるだけでなく、時によっては、採用指数よりも高いパフォーマンスを出せる可能性も秘めています。良い組み合わせを探すという調査コスト、リバランスの作業を行うコストという欠点がありますが、もしもこちらを気にしないのであるならば、アセットアロケーションでボラティリティを抑えた方が賢明かもしれません。
以上をまとめると、残念ながら、増配銘柄中心の投資が、積立投資では有利ということは言えませんでした。もっとも、今回は高配当という要素はETFの性質に含めることはできませんでした。前回、高配当株投資の積立と純粋インデックス投資の積立どちらが高いパフォーマンスをだすのか検証してみたではやや高配当株が有利に見える内容であったことを考えると増配株に高配当株
おわりに
以上が増配株投資の積立でした。以下私個人の感想ですが、インデックス投資における戦略についてあらためて再考してみるをきっかけにこれまで検証結果をブログでまとめてみました。当初はなんとなく気になるものを一つずつ検証してみた記事でしたが、だんだんそれぞれの検証結果が繋がってきたように感じます。まだ、検証してみたいテーマは引き続きあるので、記事としてまとまり次第、引き続き書き起こしていこうと思います。
Photo by Austin Distel on Unsplash